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【桐朋】田中隆文|高校で芽生えた独自の感性、監督が語る森井翔太郎のこれまでとこれから

2024.6.15

悪いところに早く気づける



―― 田中監督は、森井選手の投打どちらの面で将来性を感じていますか?

最初は野手かな……と思っていたんです。打撃力が高いので、それを生かしてほしいと考えていました。でも、そこから投手としての伸びがすごかったんです。球速はスカウトのスピードガンで153キロを計測して、変化球でもカウントをとれるようになってきました。投手も捨てがたいと感じます。

―― 森井選手の内面的な部分は、どう評価していますか?

素直な点が一番大きいです。あとは悪いところに早く気づけるのはいいですね。
私としては生徒に厳しく接しているつもりですが、このような自由な校風の学校ですから、強豪校の張り詰めた雰囲気はありません。高校卒業後にどの道に進むにしても、本人が順応できるか……。大丈夫だとは思いますが、行ってみないとわからない部分ですから、心配もあります。

―― 桐朋のような進学校になると、学校も保護者も求めるものは「学業」が第一だと想像します。そんな環境で高校野球部の監督を続けるモチベーションはどこにあるのでしょうか?

うーん、そうですね……。やっぱりこういう学校ですから、部員の意識も3つくらいの層に分かれます。単純に中学時代の仲間と一緒に高校野球をやりたい生徒、大会のベンチ入りメンバーに入りたいという生徒、あとは森井やキャプテンの石畝裕、エースの鬼塚心優らのように「上を目指したい」という生徒。そんななか、目標を定めるのも難しいのですが、西東京ベスト32、ベスト16……といったところに設定するのは、もったいないと感じるんです。「せっかくやるなら、甲子園に出るチームを目指そうよ」と時間をかけて言い聞かせてきました。「甲子園に行こう」と思ったら、一つ一つの行動に対して「これでいいのか?」「甲子園に出場するチームのふるまいなのか?」と考えるようになります。勉強にしたって、「自分の進める大学はこんなもんか」と考えて勉強していたらもったいないですから。

―― 思考力の高い生徒ほど現実を見つめて、「こんなもんか」という考えになりそうですね。

田中 そうなんですよ(笑)。でも、そこに気づいて変わっていく代があるんです。上級生が変わって、下級生たちを引っ張っていってくれる。そうやって生徒たちが変わっていくのを見るのが、楽しいのかもしれませんね。

(取材・菊地高弘/写真・編集部)


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