カラダづくり

下肢のストレッチ|引退から卒業までの間のコンディショニング管理

2020.10.1

高校野球を引退し、さらに次のステージで野球を続けるためには、今抱えているケガや不安のある部位を少しでも改善させて、より良いコンディションに近づけることが大切です。


ケガをするとどうしても痛めた部位ばかりに着目しやすいですが、なぜその部位に大きな負担がかかってケガをしてしまったか、その原因についても振り返ってみましょう。

アクシデントによって起こったケガは原因がはっきりしていますが、野球のように繰り返し同じ動作を行うスポーツの場合は、疲労の蓄積や体のバランス、筋力や柔軟性などに原因があることが多く、その原因に対してアプローチしない限り「痛めてはよくなり、よくなってはまた痛めて」とケガを繰り返してしまいます。

もちろん慢性的な肩の痛み、肘の痛みについては、肩や肘の組織が傷んでいる可能性もあるため、専門医の診察を受けることが大切ですが、自分でできることとしては肩や肘に過度な負担をかけないようにするための体づくりが求められます。特に高校生は成長期から大人になる過程にあり、体が硬いことがその身体的特徴として挙げられます。
「肩甲骨の動きが悪いと肩がうまく挙がらない」というわかりやすいものから、「下肢の柔軟性が低下すると肩や肘に負担がかかりやすくなる」「足首が硬いと腰椎に負担がかかりやすくなる」といった具合に、体は代償運動を起こしたり、連動した動きによって他の部位に負担がかかったりするため、ケガをした部位とは違ったところに原因があることも少なくないのです。

皆さんに特に心がけて欲しいことの一つが下肢のストレッチです。太もも裏にあるハムストリングスが硬いと腰椎に負担がかかり、腰椎に痛みが出ると胸椎の回旋動作にも影響が出ます。そうすると今度はこれが肩や肘へのストレスにつながります。
すべてが連動して起こるわけではありませんが、多くの選手が下肢の硬さを実感しています。ケガ予防という点から考えても練習やトレーニング後、入浴後のストレッチは日課として行うようにし、肩や肘にかかる負担を少しでも減らして、次のステージでも思い切りプレーができるように準備していきましょう。(西村典子)


下肢のストレッチはケガ予防だけではなくパフォーンマンスも期待できる


著者プロフィール

アスレティックトレーナー/西村典子(にしむらのりこ)
日本体育協会公認アスレティックトレーナー、NSCA-CSCS、 NSCA-CPT。東海大学スポーツ教育センター所属。高校、大学など学生スポーツを中心としたトレーナー活動を行う一方で、スポーツ傷害予防や応急処置、トレーニングやコンディショニングに関する教育啓蒙活動を行う。また一般を対象としたストレッチ講習会、トレーニング指導、小中学生を対象としたスポーツ教室でのウォームアップやクールダウンといったさまざまな年齢層への活動がある。一般雑誌、専門誌、ネットメディアなどでも取材・執筆活動中。大阪府富田林市出身。奈良女子大学文学部教育学科体育学専攻卒。

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