カラダづくり

オーバートレーニング症候群を引き起こす3つのパターン

2020.8.24

今年は学校が休校になるなど、野球に取り組むことがむずかしい時期が長かったと思います。そのため練習を再開してしばらくすると思わぬケガをしてしまったり、体調を崩してしまったり、といったことも心配されます。野球に限らずスポーツは一般的に基礎体力という土台の上に技術を習得し、さらに高度な戦術によってより高いパフォーマンスが発揮されるものですが、この過程を短い期間で詰め込んで行おうとするとどうしても練習量や練習強度が増えてしまう傾向が見られます。


練習と同じくらい必要な「十分な休養」

今まで十分に練習ができなかった分を慌てて取り戻そうとすると、体力要素の弱いところや体の不安部位を起点としてコンディションを崩したり、違和感や痛みを覚えるようになります。それでもなお体からの黄色信号を無視し続けていると、やがてスポーツ障害と呼ばれるような慢性的なケガにつながったり、オーバートレーニング症候群というトレーニングや練習のしすぎによってパフォーマンスが落ち、休養をとっても疲労が十分には回復しない状態になってしまうことがあります。

オーバートレーニング症候群になるパターンは大きく3つに分けられます。

【1】練習量や練習強度が極端に増えたり、試合が頻繁に行われたりすることによって、自分の体力レベルを超えた過剰な負荷がかかり続けること。

【2】練習量や練習強度は変わらないが、睡眠不足や、食欲不振・偏りのある食事など体に必要な栄養素が不足し、体の回復が妨げられること。

【3】体調がよくない状態(疲労感が続く、風邪などの症状がある)のまま練習を続けること。

コンディションを整えるためには「練習・トレーニング」「栄養」「休養」のバランスが大切ですが、十分に休養をとっても体調が回復しない、全体練習についていくのがキツイ、激しい筋肉痛が何日も続く、競技に対するモチベーションが上がらないといったことが続くと、過度な負荷によるオーバートレーニング状態が考えられます。特に責任感が強く、真面目にコツコツと練習をする選手ほど、うまくいかなかったときにさらに練習でカバーしようとオーバーワークになることが懸念されます。

野球がうまくなるためには、技術練習と同じくらい、十分な休養によって体を回復させることが大切であるということを覚えておきましょう。また反復練習にはある程度の練習量がどうしても必要になりますが、同じ動作を続けて行うのではなく分けて行ったり、グループでローテーションして行うなど、極端に練習量や練習強度が増加しない工夫もオーバーワークの予防に役立つと考えられます。(西村典子)


短期間で極端に練習量や練習強度が増えるとコンディションを崩しやすくなる!


著者プロフィール

アスレティックトレーナー/西村典子(にしむらのりこ)
日本体育協会公認アスレティックトレーナー、NSCA-CSCS、 NSCA-CPT。東海大学スポーツ教育センター所属。高校、大学など学生スポーツを中心としたトレーナー活動を行う一方で、スポーツ傷害予防や応急処置、トレーニングやコンディショニングに関する教育啓蒙活動を行う。また一般を対象としたストレッチ講習会、トレーニング指導、小中学生を対象としたスポーツ教室でのウォームアップやクールダウンといったさまざまな年齢層への活動がある。一般雑誌、専門誌、ネットメディアなどでも取材・執筆活動中。大阪府富田林市出身。奈良女子大学文学部教育学科体育学専攻卒。

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