企画

『打撃伝道師 神奈川から甲子園へ――県立相模原で説く「コツ」の教え』バッティングの考え方と技術論

2020.5.12

3.構え=スタート

「構えは自由でいい」という監督が多いが、佐相監督は構えを大事にしている。
「構え=バッティングのスタートです。短距離の選手がクラウチングスタートの姿勢を研究するように、バッターも力を発揮しやすい構えを研究するべきです」
 大きなポイントとなるのが、つまさき・ひざ・肩が一直線に並んだパワーポジションで構えることだ。パワーポジションを作ることで骨盤が前傾し、股関節周辺の筋肉が働きやすい姿勢を作ることができる。
 もうひとつは、リラックスして構えること。「打ちたい」「おれが打たなければ負ける」と思うと、僧帽筋に力が入り、肩がグッと上がりやすくなるが、こうなると肩甲骨の可動域が狭まってしまう。
 チャンスが来たときこそ、どれだけ平常心で臨めるか。県相模原ではメンタルトレーニングのひとつとして、自らを客観視するために、架空実況中継をしながら打席に入る練習をしている。

4.下半身から動きを確認する

 グラウンドでバッティング練習を行うとき、佐相監督は三塁側ベンチのイスに座って、バッターのフォームを確認することが多い。
「横から見たほうが、バッターの動きがわかりやすい。それに、試合もベンチから見るので、同じ視点で見たほうがいいと思っています」
 普段はメガネを掛けているが、バッターを見るときはあえてメガネを外す。ぼんやり見ることで、全体像をとらえやすくなるからだ。
 そのうえで、特にチェックするのが下半身の動きになる。「下を正しく使えれば、スイング軌道もよくなる」という持論があり、「内転筋のリレー」「後ろヒザを斜め下に使う」「踏み出し足のつまさきは20〜30度で着地」など、基本技術の習得に時間をかけている。(文・大利実/写真・山下令)

前編はこちら




佐相眞澄 著(県立相模原高校野球部)
< 仕様 >四六判240ページ
定価1,600円+税 2020年2月25日発売


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