偏差値は76と大阪府内のみならず、全国屈指の進学校としても知られている北野高校。今は大阪桐蔭、履正社が2強を形成する大阪の高校野球の中で創部128年の歴史があり、春夏計5度の甲子園出場を誇り、各界にも多くの著名なOBを輩出している。府内の大会では上位進出することも多いが、勉強と限られた練習時間の中で野球にも向き合うナイン。その日常について迫りました。
周囲を住宅やビルなどが囲む、街中に校舎はある。学校は文理学科のみで、連日65分の5限授業。15時30分前に授業を終えると、2学年合わせて17人の部員が更衣をすませてグラウンドへ。この日はグラウンドを半面使える日のため、選手たちは分担しながら早速練習の準備を始めた。
学校の規定で完全下校時間は18時15分。準備や片づけの時間を入れると、毎日の練習時間は2時間ほどしかない。そのうえ、この日も入れてグラウンドを半面使えるのは週に2度。サッカー部や陸上部など他の運動部とグラウンドを分け合うためだ。1度だけ全面を使える曜日もあるが、それ以外の曜日はグラウンドでは練習ができない。

渡辺健士監督は17年春に北野に着任し、3年目のこの春から監督を務める。30歳の指揮官が大事にしているのは選手への“声掛け”だ。
「彼らは頭が良いので、こちらが言おうとすることは分かっている。でも、野球に関してはまた違う。ここに答えがあるとすれば、そこにたどり着くための道筋をどう作ってあげるか。導く、というより彼らのための道筋をどう作っていくのかをいつも考えています」。


練習メニューに関しても、こちらがガチガチに組み込まない。選手たちにどうなりたいか、そのためにどんな練習をしたいかを問い、それに基づいてやるべきメニューを考える。その日によってグラウンドを使える範囲が変わるため、日々、どんなことをやれるのかを考える。それを受けたキャプテンが適宜班わけや順番の指示を選手たちに伝え、選手たちはきびきびと動いていく。

この日は3班に分かれ、ティーバッティング組とノック組、リストアップのトレーニングメニュー組と時間を区切って汗を流した。
練習の最後は20m×8本で1周のコースを作り、その真ん中で縄跳びやタイヤ引きなどをやり、笛が鳴るとそのコースを既定のタイムを目指して激走。1周走って次のメニューへ。繰り返していくと、日はすっかり暮れて、選手たちが大きく切る息が白くなっていた。

限られた時間、範囲で自分たちのやりたいこと、やるべきことをマッチさせながら日々の課題に向き合っている。18時を迎えると選手たちは片づけを素早く行い、予備校など次の予定へと向かっていった。(取材・文/写真:沢井史)
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