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【履正社】甲子園優勝メンバー座談会(後編)

2019.9.25

この夏、初の甲子園優勝を飾った履正社高校野球部。そんな野球部から野上聖喜くん、内倉一冴くん、桃谷惟吹くん、西川黎くん、井上広大くんに、優勝までの道のりを聞きました。今回は「後編」をお届けします。


すごいピッチャーだった、奥川くん

——センバツで奥川投手から17奪三振完封負けを喫して、戻ってから徹底してきたことはありますか?

西川 センバツから帰ってからは5か所バッティングをする時、1台のマシンだけストレートが速くなったような気がします。(球速は)145キロくらいですかね。

井上 自分達は速いマシンで練習はしますが、速すぎるのもかえって良くないので、いつもは140キロくらいなんです。

内倉 でも奥川君に三振をあれだけ取られて負けたこともそうなんですけれど、大阪大会の準決勝で負けてから、チームに一番危機感が出てきたと思います。

桃谷 確かあの頃、自分は全然打てなかったんです。準決勝(の大商大高戦)は上田(大河)投手から4打数ノーヒット。前の試合から2試合で8タコでしたよ。

野上 自分も全然打てなかったです。

桃谷 あの時、自分は完全にハマっていましたね。なんで打てないのか分からなくて......

井上 自分も大商大高戦から打てなくなって4番から降格しました。

内倉 で、自分が4番を打つこともあって......


——そこからチーム内で変えたことがあった?

井上 負けた後に岡田先生から振りだしに戻す、みたいなことを言われました。

西川 誰にでもチャンスを与えるというか、全員横一線になったことで本気で練習しないといけないと思うようになりました。

内倉 夏の甲子園に絶対に行かないといけないって。

桃谷 メンバーの入れ替えも激しくなったので、夏にどうなるか分からなくなったんです。

井上 でも6月末の練習試合くらいから打線が繋がるようになってきました。

西川 大阪大会は自分は打てなかったですけれど、全体的に打線は上がっていました。ただ、大阪で打てても甲子園で打てるとはみんな思っていなかったです。


——その甲子園では初戦では霞ヶ浦の鈴木寛人投手や津田学園の前佑囲斗投手など、プロも注目する良いピッチャーばかり対戦しました。その中で初打席目で必ず何かをしてくれた桃谷君の存在は大きかったですね。

内倉 かなり大きかったです!

井上 桃谷は夏の大会前の練習試合から6打数6安打とか打っていたので。

西川 1打席目で必ず塁に出てくれますからね。

桃谷 自分は夏にメンバーから外れるかもしれないと思って、めちゃくちゃ練習しました。家に帰ってもバットを振って......。自分の代わりに出ていた選手が活躍していたので、このままだと絶対に入れないと思いました。

内倉 それでも夏の大会になったら打ってくれましたからね。霞ヶ浦戦は先頭打者ホームランを打つとは思わなかったです。どのいいピッチャーでも打ってくれるので、(夏の決勝の)星稜戦も出てくれると思ったんですけれどね。

桃谷 あの時の1打席目は絶対にストレートが来ると思って張っていたんですけれど、打ち損じてしまいました。

写真左から野上聖喜くん、内倉一冴くん、桃谷惟吹くん、西川黎くん、井上広大くん

すごかったスライダーのキレ

——ストレートと分かっていても打てないのが奥川君の凄さ?

井上 はい。まずストレートは前に飛ばないんです。

内倉 自分もストレートは一番打てる気がしなかったです。これから木のバットになったらどうなるか。あ、野上の時はどうだった?

野上 夏も自分の時はめちゃくちゃ速いボールは来なかったです(笑)。


——星稜の奥川君から打った井上君のホームランが印象的でした。

内倉 打った瞬間、ネクスト(バッターサークル)から見て(スタンドに)いったと思いました。井上は普段の試合でもどこまで飛ばすねんって思いながら見ています。詰まってもバットの先で打っても入るんですよ。

井上 いや、でもあの打席以外は全然ダメでしたからね。


——何より奥川君は、井上君の打席の時はギアを何段階も上げていましたね。

井上 自分の4打席目で三振した時のスライダーは、ショートバウンドしたくらいの感覚で振ってしまったんですけれど、家に帰って映像を見たら(捕手の)山瀬がしっかり捕っているんですよね。この違いは何なんやって思いましたよ。この間、U18のカナダ戦での奥川君を見ましたけれど、あのスライダーは初見では打てないと思います。

内倉 今年は3度、対戦しましたけれど奥川君は本当にすごいピッチャーでした。サインをもらえば良かったです(笑)。


——次に星稜と対戦する可能性があるのは国体です。星稜の山瀬君は「次に対戦したら勝ちたい」と話していましたよ。

井上 いやー、ボールが見えるかどうか......

西川 次はバットにすら当たらないと思いますよ(笑)。


——センバツ以降、悔しい思いをしましたが、こうやって優勝できた一番の要因はどこにあったと思いますか?

内倉 気持ちだと思います。最後の夏だし、楽しもうと思ってやってはいましたがやっぱりこれだけやっという自信もあったからだと思います。1人1人がやるべきことの役割を果たせました。

みなさん、ありがとうございました!

(取材・写真:沢井史)

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