第二回「球速アップのための腰の落とし方」
120km台前半からわずか数年で145kmまでスピードアップした経験を持つ相原雅也さん。球速アップに重要なポイントについて、第1回は『腕の回し方』について詳しく解説してもらいました。今回は二つ目のポイントである『腰の落とし方』をレクチャーしてもらいます(聞き手・西尾典文)。
▼球速アップのための腰の落とし方(前篇)
▼球速アップのための腰の落とし方(後篇)
──まずなぜ腰を落とす必要があるのでしょうか?
相原:ボールを投げる時には軸足(右投手なら右足)だけで立って、そこからステップして投げていきますが、よりバッターに近いところでリリースしようと思ったら足を開く必要があります。そして足を開こうと思ったら、当然腰も落とす必要が出てくる。そのことは理解できると思います。ただそれではどんな体勢で腰を落とせば良いかと聞くと、理解できている選手は少ないです.
──投手の話をするときに足腰が大事、下半身を使えということはよく言われますが、どう使うかまで詳しく聞くことは確かに少ないですね。
相原:下半身が使えているかどうかということを一言で言うと、回転運動しやすいように前の足(右投手なら左足)を着地できているかということです。投球動作は前にも話したように並進運動と回転運動です。その二つの運動をスムーズに速く行うことができれば当然投げるボールも速くなりますよね。
基本的な考え方は腕の回し方で話したことと同じで、まずは体の仕組みを理解することが重要です。腕の場合は肩甲骨でしたが、脚の場合は付け根に大腿骨があってそれを支える骨盤がある。その周りの筋肉に無理のない姿勢で着地することができればスムーズに回転運動に繋げることができます。
──その姿勢はどのようにチェックすることができますか?
相原:まずは腰を落とした時に骨盤の中心にある仙骨がしっかり正面を向いていないといけません。外から見た時はベルトのバックルを参考にすると良いと思います。骨盤が傾いた状態で腰を落とすと股関節のどこかに負担がかかり、スムーズに動かすことができません。
──ステップの幅についての目安などはありますか?
相原:よく選手にステップの歩幅を聞くと6足分とか7足分とか答える選手が多いですが、ただ言われた通りにやっているケースがほとんどです。自分のステップの幅を確認するには足を開いて、そこから先ほど話したように骨盤を傾けずに腰を落として左右のスムーズに動けるかがポイントになります。
7足分の歩幅をとっても腰を落としてスムーズに動けるのであれば問題ありませんが、ほとんど動けないのであればその人の体には合っていません。最初にも話した通りそんな状態では回転運動しやすいとは言えませんから。逆に歩幅が狭くてもスムーズに動けていれば下半身は使えているということです。
──上原投手(カブス)を見ていても歩幅は広くないですよね。
相原:日本の時よりも狭くなっているように見えますよね。直接本人と話したわけではありませんが、アメリカのマウンドは硬いので、それまでの歩幅だと支えられなくて回転しづらかったのかもしれません。自分が見ている軟式の大学野球日本代表の選手でも海外の赤土で踏み出した足がしっかり支えられて、日本で投げている時よりも良くなった選手がいました。それだけ並進運度から回転運動にスムーズに移るということは重要だと思います。
──腰の落とし方を実際の投球動作に繋げるためにはどんなことをすれば良いですか?
相原:まずは正しい姿勢を体に覚えさせるために、動きやすい歩幅で開いた状態でスクワットをすることが良いと思います。あとはそこから左右に体を動かしてやる。その動きがリラックスして無理なくできればスムーズな回転動作に繋がると思います。
第三回「球速アップのための回転軸の作り方」へ続く
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▼球速アップアドバイザー 兼ホグレル硬式野球部監督
相原雅也
http://www.hogrel.com/hogrel/baseball.html
▼ホグレル硬式野球部
http://ameblo.jp/yoannahogrel/entry-12230520276.html