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【球速アップ講座】彼らが速いボールを投げられる理由|吉田輝星(金足農業)編

2018.9.25

ご自身の球速120キロから145キロへのスピードアップした経験をもとにした『球速アップ講座』でおなじみの相原雅也さん(元四国アイランドリーグ高知、新日鐵住金かずさマジック)。今回はそんな相原さんに、この夏の甲子園で大活躍した投手がなぜ速いボールを投げられているかについて解説していただきました。前編は地方大会からフル回転で一躍スターとなった吉田輝星投手(金足農)です。


目立つ下半身の強さと安定感!

『球速アップ講座』でおなじみの相原雅也さんにまずは動画で吉田投手の投球フォームを見ていただきました。

――甲子園での吉田投手のピッチングはご覧になりましたか?
「じっくり見たわけではありませんが、(事前に編集部が送った)動画はしっかりとチェックさせてもらいました」


――以前、速いボールを投げるポイントとして三つのこと(腕の回し方、腰の落とし方、回転軸の作り方)を教えていただきましたが、そのポイントに沿って解説すると吉田投手はどこが特に素晴らしいと言えますか?
「まずいいなと思ったのが左足が着地した時の腕の位置ですね。しっかりと肩甲骨の面に沿ったところに腕を持ってくることができている。少し体の後ろにあるようにも見えますが、胸が開いているので肘だけが後ろに引いているわけではありません。この姿勢を作ることができることがしっかりした腕の振りに繋がっていると思います。
そしてやはり目立つのが下半身の強さです。安定した下半身がなければどうしても上半身の力で投げようとしてしまって、腕を引きすぎてしまうことに繋がりやすい。高校生くらいだとこの差は顕著に現れますね」


――下半身の強さ、安定感についてもう少し詳しく解説していただけますか?
「投手はなるべく打者の近くでリリースするために腕を前に持っていきたいのですが、吉田投手は着地してからそのままの状態で横移動ができる。下半身が強くないと体を支えられずにそのまま捕手の方に流れたり、上半身が前に倒れたりするのですが、そうなってしまうと横移動はできません。高校生くらいだと、大体足を上げて着地した時は後ろに残せないんですが、吉田投手はしっかり残すことができている。

吉田投手の最大の長所は「着地してからそのままの状態で横移動ができる」こと。
後ろに力が残っていないと、それ以上前には移動できませんから。それでいて左の股関節でもちゃんと着地を支えることができている。よく股関節が大事だと言いますが、吉田投手は股関節の周囲の筋肉が相当しっかりしていることが分かりますね。前に行くためには後ろの支えが必要ですから、具体的にはお尻の周り、ハムストリングス(太ももの裏)になります」


――前に行くためには後ろが大事ということですね。この夏はかなりの球数を投げて問題視する声もありましたが、やはり下半身が強いから投げられる部分も大きそうですね。
「その通りです。下半身が使えるから上半身は力を入れなくて、リラックスした状態が長くなる。だから肩や肘にかかる負担も小さくなります。
ただ甲子園でも最後は下半身に疲れからくる痛みが出たと言っていましたが、着地を支える側の左の股関節の状態が生命線になってくると思います。高校ジャパンの映像だと、少しその疲労からか気になる点が出てきています。着地した時に右足の膝が少し前に出てしまっているんですね。これは左の股関節で受け止め切れていない影響だと思います。そうすると下半身の出力は少なくなりますから、どうしても少し上半身に頼ってしまいますよね。
メディカルチェックでは肩や肘だけをチェックしますが、下半身の疲れからフォームが崩れて上半身に悪い影響が出てしまうことがあります。吉田投手のようなタイプは特にそこを注意してもらいたいですね」

吉田投手は下半身がしっかり使えているため上半身に余計な力が入らない。そのため肩、肘への負担が少さくなる投げ方になっていると言える。

――吉田投手のような強い下半身を作るためにはどのような練習、取り組みが必要になってきますか?
「今の時代は練習法はいくらでも溢れていますから、吉田投手も何か特別なことをしていうわけではないと思います。ただその練習がどの部分にどんな目的で行っているかということを意識できるかで変わってくるのではないでしょうか。
例えばスクワットをやるにしても先ほど重要だと話したハムストリングスや内転筋を意識することで変わってきます。ただ数をこなすだけなのと、意識をするかでは大きく違いますから。投げる動きの中で強さを出すためにはどうすればということをよく考えてもらいたいですね。
あとは段階を分けてやることも重要です。まずは動かすための準備のトレーニング。これは可動域を広げる、柔軟性を出すといったことを目的にすることが多いです。それである程度柔軟性や強さが出てきたら、次に投球動作を良くするためのトレーニングをする。体の強さや柔軟性に合わせた動作にしないと、速く正確なボールを投げることはできません。だからその人のその時の状態によって、フォームも取り組むべきトレーニングも変わってくるものです」



後編は二刀流でも話題の根尾昂投手(大阪桐蔭)、2年生ながら見事なピッチングを見せた西純矢投手(創志学園)について解説してもらいます。

▼球速アップアドバイザー 兼ホグレル硬式野球部監督 相原雅也
http://www.hogrel.com/hogrel/baseball.html
▼ホグレル硬式野球部
http://ameblo.jp/yoannahogrel/entry-12230520276.html
(取材:西尾典文、写真:編集部)

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