高校時代は120km台前半のスピードで控え投手だったものの、その後わずか数年で145kmまでスピードアップし四国アイランドリーグ(高知ファイティングドッグス)、社会人野球(新日鐵住金かずさマジック)でも活躍した相原雅也さん。現在は「ココロとカラダのコンディショニングトレーナー」として、サポートする立場から多くの選手のパフォーマンス向上に携わっています。
過去にもご自身の経験や球速アップ法について取り上げましたが、今回はおなじみ野球ライター西尾さんが直撃取材!改めて相原さん自身に実演してもらいながら重要なポイントについてより詳しく教えていただきました。
第一回目「球速アップのための腕の回し方」
──まず「腕を回す」という言い方は普段の野球の現場では聞かないです。どちらかというと「腕を振る」という表現が多いと思うのですが。
相原:まず「腕を回す」という言葉を聞いた時に、受け止め方や概念がそれぞれ人によって違うと思うんですよ。子ども達に「腕を回してごらん」と言うと体の前で回す子もいれば後ろに大きく回す子もいる。もっと言うと前腕(肘から先)だけを考える人もいると思います。
でも速いボールを投げるには腕全体を使う必要があるのはすぐ分かりますよね。そう考えた時に「腕」はその付け根である肩、そしてそれを支える肩甲骨まで含めてとらえてもらいたいです。そしてボールを投げる時により自然で体に負担のかからない腕の使い方を身につけるための「腕の回し方」が重要だと考えています。
──肩甲骨が重要だという話は他でもよく聞きますが、どのあたりがポイントになるか詳しく教えていただけますか。
相原:最初に肩甲骨がどのようについているかを認識する必要があります。これも「肩甲骨はどのようについていますか?」と聞くと、正しく理解できている人は少ないです。
骨格の模型を見るとすぐ分かるんですが、背中に対して30°〜45°くらい前方の角度でついています。そしてこの肩甲骨の面に沿って真っすぐ腕を上げたところで腕を回すのが一番スムーズだというのが分かります。そうでないと肩甲骨の周りについている筋肉が無理に引っ張られたりして、負担がかかりますよね。だから腕を使ってボールを投げる時には肩甲骨の面とそれに沿って腕を上げるというのが重要だということです。
──体の作り、肩甲骨の作りに従って腕を使うのが重要だということですね。
相原:そうです。実際に肩甲骨の面に沿って腕を上げて、その状態から腕を回しても絶対に背中の方に腕は行きませんよね。でも実際にボールを投げる動きをしてごらんと言うと腕を大きく背中の方に引いて投げる選手が多いです。それだけ体の作りに沿った動きになっていないわけですから速く腕を振ることも難しいですし、無理に速く動かしても体への負担も大きいですよね。
いきなり投げる動きを変えるのは難しいので、まずは肩甲骨の面に沿った位置で腕を回す動きを訓練するところからスタートします。そういう意味での「腕を回す」というところですね。
──そうやって腕を回すところから実際の投げる動きにどのように繋げていけば良いでしょうか?
相原:実際に投げる時には腕を伸ばしたままではできません。肘を曲げて腕を回しながら伸ばしてやることでボールに力を伝えます。それをスムーズに行うために、肩甲骨の面に沿った腕の位置から肘を曲げて内旋(内に回す)動作と外旋(外に回す)動作を繰り返しながら、肩甲骨を意識して腕全体を回します。そうするとだいぶボールを投げる動きに近くなります。
実際に投げる動きでこれができているかをチェックする際には、よく壁に背中をつけて投げたりします。肩甲骨の面に沿った位置で腕を回していれば、手が壁に当たることはありません。
──なぜ腕を大きく後ろに引いて投げてしまう選手が多いんですかね?
相原:一つは速いボールを投げようとすると、どうしても力んで動きが大きくなると思うんですよね。あとはプロなどの他の選手を見ていることもあると思います。柔軟性などは選手によって個人差があるので、見えている動きをそのまま真似するのは危険です。肩甲骨のつき方も人によって違いはありますから。そういう意味でもまず自分の体にあった腕の使い方を知るために、お話ししたような腕を回す動きを身につけることが重要だと思います。(聞き手・西尾典文、写真・編集部)
第二回「球速アップのための腰の落とし方」へ続く
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▼球速アップアドバイザー 兼ホグレル硬式野球部監督
相原雅也
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▼ホグレル硬式野球部
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