学校・チーム

【金沢】「こうなりたい」「こうしたい」意志の積み重ねが結果に繋がる

2018.9.21

昨年発売した『甲子園を目指せ!進学校野球部の勝利への方程式』に続き、今年も『甲子園を目指せ! 進学校野球部の奮闘の軌跡』が辰巳出版より発売!
取材した高校の中から、横浜市立金沢高校野球部の本書掲載内容の一部を紹介します。


「甲子園を目指せ! 進学校野球部の奮闘の軌跡」横浜市立金沢高校 編



すべては1本の道につながっているーー
野球と勉強、どちらも絶対にあきらめない! (本書より)


的確な指摘をすれば問題点を修正できる高い能力がある選手たち。練習に明確な意志を持たせ、今夏県のベスト8に。


「理解力の高さこそがチームの強み」より

金沢の強みとは何か―?

そう聞くと、李剛監督と吉田斉部長の2人は同じような言葉を返してくれた。

「理解さえすれば、それを実行に移そうとする力には長けています。だから、技術を教えるにしても、『こうしたらこうなる』と理屈を伝えることが大事。そうした理屈がなく、『これをやりなさい』と言うだけでは、彼らは納得しません。ただやみくもに『1日1000回振れ!』という考えは、この子たちには合わないと思います」(李監督)
選手からしたら怖い監督である。でも、前任の桜丘時代はもっと怖かった。金沢に来てから、怒る回数は明らかに減っている。理解力のある生徒だけに、ただ怒るだけでは意味がないとわかったからだ。

そして、吉田部長。
「ぼくは金沢に来てから、一度も声を荒らげて怒ったことがありません。怒る必要がないし、怒っても意味がないと思っているからです。彼らは頭がいいので、理屈を言えば、理解ができる。理解力、吸収力は本当に高いと思います」

練習中、たしかに大きな声を出すようなことはない。特に技術指導のときは、静かなトーンで、体の使い方を丁寧に教えている。まるで、教室で授業をしているかのようにも見える。

「3人の選手にバッティングの課題を与えたら、翌日にはその課題が修正されていたことがあって、それには本当に驚きました。練習が終わったあと、家で自主練習をしている証拠ですよね。だから、練習が19時に終わるのは、彼らにとってはちょうどいいと思うんです。腹八分ぐらいで終わって、『もっとやりたい』『もっと野球がうまくなりたい』という気持ちがあれば、家でも練習ができるわけです。残りの二割をどうするかは、彼らの気持ち次第です。ぼくは、『練習はチームのためではなく、自分のためにやりなさい』と言っています。自分がうまくなることによって、チームの力も上がっていくものです」

吉田部長は怒鳴り声をあげることはないが、決して優しいわけではない。選手のことを冷静に分析し、厳しい言葉を投げかけることもある。

「できていないことを、はっきりと伝えるようにしています。できなかったこと、できていないことを、しっかりと認めさせる。認めなければ、その課題に取り組もうとはしませんから」

練習試合では、ミスがあった選手に向かって「お前のせいで負けた」と名指しで責めたこともあった。「ドンマイ」「よくやった」「次頑張ろう」では、現状は何も変わらない。力のなさを認め、受け入れなければ、自分自身を高めていくことはできないわけだ。

こうした指導法に対して、選手はどう感じているのか。五番を打つセカンドの渡邉陽が教えてくれた。
「吉田先生は本当に細かいところまで見てくれています。たとえば、ヘッドが下がっているときに、『ヘッドが下がっている』だけじゃなくて、『右手がこうなっているから、ヘッドが下がっている』と原因まで言ってくれる。原因がわかっていれば、修正しやすくなるので、わかりやすいです」

さらに、金沢の生徒と接するなかで、吉田部長が感じたことがある。

「『成功ありき』で考えているんです。ひとつでも失敗をすると、そこから崩れていってしまう。でも、野球は失敗がつきもののスポーツで、点を取られるのも当たり前。新チームからずっと言い続けてきたのは、試合の戦い方です。9イニング通して、どうやって戦うか。序盤に失点したって負けるわけではないし、点を取ったからといって勝てるわけではない。野球を9イニングで考えること。それができるようになったのが、この春の結果につながったと思います」
(文&写真:大利実)

続きは本書よりお読みください


【掲載高校】

◎県立仙台第二高校(宮城県)
「文武一道」。道は一つ。目の前の課題に全力で立ち向かう
一人一役。守備リーダー、走塁リーダーなど専門性を持って各自がチームに貢献。人間力の強化に取り組む。

◎市立金沢高校(神奈川県)
「こうなりたい」「こうしたい」意志の積み重ねが結果に繋がる
的確な指摘をすれば問題点を修正できる高い能力がある選手たち。練習に明確な意志を持たせ、今夏県のベスト8に。

◎県立掛川西高校(静岡県)
「全員本気・全員野球」勇気を持って戦う姿勢が大切
「甲子園タイム」と称して強豪校の実力を数字で可視化。緻密な数値化で結果につなげ、100%出し切った夏。

◎県立膳所高校(滋賀)
「データ野球」を武器に斬新なシフト、頭を使う野球で勝負
毎年入部した選手の良いところを掛け合わせてのチーム作り。専門データ班の分析データを活用して戦う。

◎県立松山東高校(愛媛県)
「誰かのためにやりきる」1球に熱中できるチーム作り
「勝利」を意識して、みんなで掴む野球ができた。監督就任3カ月で感じた手応え。

◎県立東筑高校(福岡県)
考えさせる大人の野球を実践。日本一短い練習で、日本一強いチームに
怒鳴らない、強制しない、決めつけない。将来を見据えた指導で選手を伸ばす。「生徒は勉強を一番に頑張って欲しい」の真意とは?


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