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熱中症になりやすい危険因子

2015.7.13

 暑い夏が近づくと毎年のように熱中症による救急搬送などのニュースが流れます。熱中症とは暑い環境下で生じる健康障害の総称で、高温下での運動によりって発汗や循環系に異常をきたし、身体と外気温との温度調節がうまくいかないことで起こると言われています。

【熱中症の4パターン】
①皮膚血管の拡張によって血圧が低下、脳血流が減少して起こる「熱失神」
②大量に汗をかいてミネラル(ナトリウム)分を失ったところに、水分のみを補給して血液中の電解質バランスが崩れ、ふくらはぎや、太もも、腹部などの筋肉が細かいけいれんを起こして痛みを伴う「筋けいれん」
③大量に汗をかき、水分補給が追いつかずに脱水状態になって身体に支障をきたす「熱疲労」
④体温が上昇して中枢機能に異常をきたし、意識障害やショック症状を伴う「熱射病」

 野球の練習や試合においても、日頃から熱中症対策(適切な水分補給、練習・試合スケジュールの管理等)を行っていかなければなりませんが、特に熱中症を引き起こしやすい危険因子をご紹介したいと思います。

●睡眠不足
 熱中症の症状を訴える選手に話を聞いてみると、その多くが「前日、よく眠れなかった」もしくは「夜更かしをしてしまった」と答えます。睡眠時間を確保することは身体の成長を促すだけではなく、その日一日の疲労を回復させる意味でも大変重要なものです。十分な睡眠時間は個人によって変わりますが、7~8時間程度は寝るようにしたいところです。公式戦前の緊張感から眠れなくなることも考えられますが、睡眠不足は熱中症になりやすいと認識し、早めの就寝を心がけましょう。

●朝食を食べなかった
 睡眠不足とともによく聞かれるのが「朝食を食べなかった」ということ。朝食を抜いてしまうと、食べものから得られるエネルギー源を、少なくとも半日近くとらないまま過ごすことになります。エネルギー不足では脳や身体が十分に働きませんし、暑いさなかでプレーを続けると体調を崩してしまうことにつながります。暑い時期こそ栄養バランスの整った食事をとるようにしましょう。

●肥満傾向
 肥満とは単に体重が多いことではなく、体脂肪が過剰に蓄積した状態をさします。国際的な標準指標であるBMI(Body Mass Index:体重(kg)/身長(m)2)を用いて計算を行い、BMIの標準値22.0に対し、25.0を超えると肥満傾向にあると判定されます。運動では、筋肉を動かし体内で熱を産生しますが、肥満傾向にある選手は軽い運動でもエネルギー消費量が大きく、さらに体脂肪が熱の放散を妨げるため、体温が上昇しやすいと言われています。練習においてどの選手にも公平に練習機会を与えることが、肥満傾向の選手にとっては大きな負担になることがあります。体力面を考慮した練習内容を確認する必要があるでしょう。

●キャッチャーの防具
キャッチャー特有のケガを考える~後編~」でも書きましたが、キャッチャーは防具によって熱がこもりやすくなり、脱水症状を起こしやすいことも考慮しなければなりません。さらには体格がよく、肥満傾向にある場合はなおさら熱中症のリスクが高くなることを覚えておきましょう。こまめな水分・塩分補給、熱がこもらないように防具を着脱する等、熱中症対策は十分に行いましょう。

試合前だからこそ、いつもと同じ日常生活を送ろう


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