カラダづくり

猛暑での練習、ケガの予防や体調維持のために必要なこととは?

2020.8.19

暑い時期の練習はいつも以上に気をつけなければいけないことが多くあります。高すぎる気温や直射日光による紫外線の影響など、暑熱環境によるストレスを考えると練習量や練習強度はなるべく抑えめにして、疲労回復を促すようなコンディショニングやケア、休養を十分にとることが、ケガ予防や体調を維持するためには必要となってきます。


欠かせない、こまめな水分・ミネラル分の補給

高温下でのスポーツは発汗量が多くなり、水分やミネラルが奪われるため、こまめな水分・ミネラル分の補給が欠かせません。脱水症状を起こすとそこから熱疲労、熱けいれん、熱射病といった熱中症の症状へと進行し、生命を脅かすような状態におちいることもあります。練習計画の段階から水分補給用の休憩時間(ウォーターブレイク)をあらかじめとっておいたり、練習内容や時間、強度などが体力的にムリのないものであるように準備し、選手の動きを見ながら時には時間を短縮して終えるように臨機応変に対応することも必要です。

紫外線が疲労物質を生み出す

また屋外で練習を行う時に考慮したいのが紫外線による影響です。太陽光には目に見える光(可視光線)と目に見えない光(不可視光線)が存在しますが、紫外線は不可視光線の中で最も波長の短い光です。1日のうちでは正午ごろ、日本の季節では6月から8月に最も紫外線が強くなり、快晴時により強くなります。強い紫外線を浴び続けると日焼けなど皮膚へのダメージはもちろんのこと、体内では紫外線への防御反応として大量の活性酸素を発生させるといわれています。活性酸素は体の免疫機能を担いますが、過剰に増えると正常な細胞を傷つけて疲労物質を生み出すため、体力を奪われやすくなります。

このように暑熱環境によるストレスが体に及ぼす影響は少なくありません。いつもと同じように練習をしていたとしても、その日によって体調が優れなくなったり、疲労による強い倦怠感などを覚えることがあります。これに加えて練習過多によるオーバーワークが積み重なると体は悲鳴を上げ、コンディションを崩したり、ケガをしてしまったりすることになります。

屋外での活動時間が長く、暑熱環境によるストレスが大きい時期は、練習を終えたらその疲労を回復させるだけの十分な休養をとることを忘れずに実践していきましょう。(西村典子)


暑い時期は運動量に加えて、暑熱環境によるストレスも考慮しよう!


著者プロフィール

アスレティックトレーナー/西村典子(にしむらのりこ)
日本体育協会公認アスレティックトレーナー、NSCA-CSCS、 NSCA-CPT。東海大学スポーツ教育センター所属。高校、大学など学生スポーツを中心としたトレーナー活動を行う一方で、スポーツ傷害予防や応急処置、トレーニングやコンディショニングに関する教育啓蒙活動を行う。また一般を対象としたストレッチ講習会、トレーニング指導、小中学生を対象としたスポーツ教室でのウォームアップやクールダウンといったさまざまな年齢層への活動がある。一般雑誌、専門誌、ネットメディアなどでも取材・執筆活動中。大阪府富田林市出身。奈良女子大学文学部教育学科体育学専攻卒。

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