プレー以外の部分でどれだけチームの役に立てるか
グラウンドに来るのはいつも1番。食事では嫌いなものをちゃんと食べる。整理整頓や片付けなど、人として当たり前のことは当たり前のようにこなした。「チーム全体で盛り上げる選手が少ないので、自分が盛り上げ役になること、プレー以外の部分でどれだけチームの役に立てるかだと思いました。自分たちの学年は23人いて23通りの考えがある。全員の考えを反映させることはできないので、副キャプテンを務める数人の選手に自分の考えを伝えて、そこから徐々にチームに浸透させるようにしました」。
大阪桐蔭はミーティングをこまめに行いながらチーム作りを進めるが、学年ごとのミーティングも行う。3年生だけのミーティングでは、試合経験がある者が積極的に話し、色んな意見がある中でどれをチームに取り入れるべきかを考えて、自分がチーム全体に伝えるようにしている。大会になるとそのミーティングの頻度は3日に1度。副キャプテンとのミーティングは毎日行い、意見交換をしている。
ただ、昨秋の戦いはチームとして悔しさしか残らなかった。
「日本一を目指していたのに最後に負けた試合(近畿大会決勝・天理戦)は点差が開いて不甲斐なさを感じました。夏の経験のある者が、あの悔しさをどう生かすかがテーマだったのに…。その悔しさが薄れていったんじゃないかと西谷先生に言われました」。
ミスをしてもどれだけ自分に厳しくできるか。ポジションごとで話し合いを重ねた課題だ。そのため、冬の練習ではノックでもバッティングでも“粘り”にこだわる。
「アウトになる時でも簡単に終わってしまうことが秋は多かったので、粘り強さをどこまで発揮できるか。この冬はプレーでの心の粘りをつけたいです。心で野球ができるチームになるのが目標です」。
薮井主将の生き生きとした姿が、チームに活力を与え、そして大阪桐蔭をどう変貌させていくのか。秋からスケールアップした姿を春に披露するために、今日も薮井主将を筆頭にナインは厳しい練習に向き合っている。(取材・文・写真/沢井史)
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