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大阪桐蔭元主将中川卓也(早稲田大)「野球ノートを大切にすれば野球はうまくなる」

2019.9.30

2018年、高校野球史上初となる2度目の甲子園春夏連覇を達成した大阪桐蔭高校。当時、キャプテンとしてチームをけん引した、現早稲田大学1年の中川卓也選手に、高校時代彼を支えた野球ノートについて聞いた。


“野球を見る目”が養われた!



Check!! チームづくりに欠かせない「幹部ノート」

「主将と副将、各ポジションのリーダーの計9人で回すノートもあり、選手が1ページ書くと、それに対して西谷監督が1ページ以上もコメントしてくれる、中身の濃い『交換日記』で、チームが目指す方向性を明確にしてくれました」

Check!! 選手ミーティングの材料に

「良かったことが書いてあることもありますが、ノートはほとんどが「反省点」で埋めています。チームとしてどうあるべきか、全員が寮で生活する大阪桐蔭ではほぼ毎日、夕食後に選手だけでミーティングを行うので野球ノートはその材料にもなりました」

Check!! 西谷監督からのコメント

「西谷監督からコメントがときどき返ってきます。自分に足りないモノや、『どんな選手になってほしいか』などを書いてくださりました。2年生の秋は毎日のように『主将力』と書かれていて、その意味を考えながら毎日試行錯誤でした」

野球ノートを大切にすれば野球はうまくなる

――ノートを今、見返してみてどうですか?
大阪桐蔭は毎日の練習で感じたことや反省点をノートに書いて、翌朝、西谷(浩一)監督に提出します。1年生の頃は自分のことばっかり書いていましたけど、主将になってからは内容がチームのことばかり。3年間で成長していたんだなと思います(笑)。

――練習も毎日遅くまで練習があるなかでいつノートを書いていたんですか?
練習が終わって寮に戻るのが夜の9時すぎです。そこから食事、お風呂、洗濯に掃除、ミーティングがあって、午前0時に消灯。なので、例えばご飯を食べて少し書いて、お風呂から出てまた少し書いて、という感じでちょこちょこと書いていました。

――毎日A4のノートに1ページ、ぎっしり書いていますが、これだけのことを書くコツはあるんですか?
日々練習に集中はするんですけど、頭の片隅に「練習終わりにノートを書く」ということも置いていました。だから、反省点や監督からの注意があると「これは書かなきゃ」って覚えておくんです。主将になってからは個人だけでなく、チームのことも考えるので、反省点が多い。一つの練習を終えるごとにメモ帳に気づいたことを書くようにしていました。

――中川選手のミスもあり負けた2年生の夏の甲子園以降、主将にもなり書く内容に変化はありましたか?
「もう絶対、あんなことにはなりたくない」という思いがありました。僕のミスで負けた日の夜、心が少し落ち着いてから一気に書きました。あの日以前と比べると内容の濃さが違いますね。

――ノートを書くことでどんな成長につながりましたか?
視野が広くなったというか、「野球を見る目」が養われました。ノートが充実している選手って、周りがよく見えているんです。ミスも見逃さなくなる。1日の練習がすべて完璧な日は絶対にない。それを毎晩ノートに書くわけなので、今の自分に満足できなくなる。だから、大阪桐蔭はいつも「まだまだうまくなる」ってみんなが思っているんです。ノートを大切にすれば、野球はうまくなる。大阪桐蔭ではそう言われています。

中川卓也(Takuya Nakagawa)

2000年7月28日生まれ。175㎝、80㎏。右投左打。大阪桐蔭高校では1年秋からベンチ入りし、2年秋の新チームから主将に就任。侍ジャパンU-18でも主将としてアジア選手権銅メダルに。

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