企画

大阪桐蔭×東邦 センバツ友情応援の裏話

2019.6.18

昨年の春夏の覇者である「大阪桐蔭」が「東邦」を友情応援。そして、応援された「東邦」がセンバツで優勝を飾る……。2019年春を盛り上げた、ドラマのようなストーリー。その裏話を大阪桐蔭吹奏楽部・総監督の梅田隆司先生に取材した。


そもそもこの友情応援は、東邦高校側から相談を受けた”高校野球ブラバン応援研究家”梅津有希子さんが、大阪桐蔭の吹奏楽部に話を持ちかけたことがきっかけだった。いつも野球応援をしている東邦高校のマーチングバンド部だが、もともと決まっていたアメリカ遠征と甲子園の日程が被ってしまったのだ。
「ウチの前に何校か声をかけたそうですが、どこもスケジュールが合わなかったようです。だけどウチは空いていたわけですよ。なんでかって? もちろん(甲子園に)行くつもりだったから」(笑)。

「いいものはみんなで一緒に楽しむのが一番。音楽は人と人とを結ぶ。大阪桐蔭の演奏がその一翼を担えれば、こんな嬉しいことはありません」(梅田隆司先生)
大阪桐蔭高校吹奏楽部と東邦高校マーチングバンド部との交流は、先生同士が挨拶を交わしたことがある、という程度だった。しかし、野球部に相談してみると「東邦さんとは練習試合もよくやってるし、そういうことやったらやったってや」とのこと。校長や理事長も「夢のような話だ」と満場一致でGOサインが出て、友情応援が決まった。
 
 その波は後援者まで届いた。大阪桐蔭吹奏楽部にはOB保護者から寄贈された楽器運搬用の10tトラックがある。「大阪桐蔭出てないのにこのトラックで甲子園行ったらおかしいなぁ」と『ガンバレ!!東邦高等学校 友情応援 大阪桐蔭高校吹奏楽部』と書かれた横断幕を用意してくれた。トラックに横断幕を掲げ、180人を超える吹奏楽部全員で甲子園へ。

 いつも野球応援のときは、「周りの人たちの倍くらい声を出してやろう!」という気持ちでやっているという副部長の中川桐吾くんは、「東邦側から感謝の言葉をたくさんいただいて嬉しかった」と笑顔。
 準決勝からは、アメリカ遠征から帰ってきた東邦マーチングバンド部と合同応援することになった。部長の井上里菜さんは「東邦さんは動きがキビキビなので、ついて行くのに必死で……でも回を重ねるにつれて緊張も解け、いいムードで楽しく演奏できるようになったと思います」と春を振り返る。



 東邦の応援曲の他に、7回には桐蔭の曲を演奏するという段取りのなかで、東邦の応援団や野球部から、大阪桐蔭のオリジナル曲で藤原恭大(ロッテ)の応援曲だった『You are スラッガー』や、根尾昴(中日)の応援曲『かっせー!パワプロ』のリクエストがあった。
 大阪桐蔭が春夏連覇した昨年、幾度となく甲子園に響き渡ったこれらの曲。井上さんも感慨深げに振り返る。「応援の人たちも喜んでくれて、東邦の生徒さんもノリノリで吹いてくれました」。
 
 あまりの注目度の高さに、野球応援に来たのにカメラを向けられるという誤算もありながら(「桐蔭が優勝したとき以上に報道陣きたわ」と梅田先生が語るほど)、東邦が勝ち進むにつれスタンドはますます盛り上がった。
 大阪桐蔭の友情応援が東邦優勝の一つの原動力になったことは間違いないだろう。

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