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【石岡一】甲子園初出場!公立高が強豪私学と互角に戦う術(後編)

2019.6.12

無失策を目指す守備練習



日が落ち始めた18時頃。職員会議を終えた川井監督がグラウンドに降りてきた。ナイターの照明が点灯し、バッティング練習の鳥カゴを片付けられると、内野手のノック練習に移る。指導者が2人しかいないため、ノックを打つのは選手だ。スローなテンポで行われるが、川井監督が選手一人ひとりのプレーを見てアドバイスを送る。

簡単なゴロだからこそ、足の運び方やスローイング動作を丁寧に行わなければいけない。現役時代は2年生ながら竜ケ崎第一の正ショートとして、甲子園であの松井秀喜氏と対戦経験のある川井監督。選手に身振り手振りで教える姿はまさに内野手のお手本である。



全体のノックが終わった後に、動きが気になった選手とマンツーマン指導することもしばしば。チームは昨秋の県大会でも、センバツでもエラーが失点に繋がってしまった。『無失策』を目指すチームにとって守備力強化は夏までの最重要課題なのかもしれない。

技術と体力を養うハードな走塁練習

カラダづくりに専念する1年生は早めに解散となり、練習の最後は走塁練習となった。一塁から二塁まで最短で走るよう川井監督がベース付近ギリギリに立ち、選手の走り方をチェックする。ベースを踏むのではなく、ベースに触れる感覚と、二塁ベースに向かうまでの理想的な角度を覚える。(練習後半は白線を引き、わかりやすくレクチャー)



この練習は走塁だけではなく体力強化も兼ねている。動画をよく見るとわかるが、走り終わった後にすぐさま腹筋や腕立のトレーニングが課されている。選手は時にうめき声をあげながら自分の身体に鞭を打っていた。

最後は二塁ベース上でのシャッフル練習。シャッフルとは足を交差させず横に進むサイドステップのことである。第2リードを取る時やオーバーランをしてスピードを緩めながらストップする時に使う走塁技術だ。シャッフルのポイントはバッターのインパクトのタイミングに着地を合わせること。

川井監督の手拍子に上手く合わせてスタートを切る。地味な練習だが、スタートの反応を良くすることができれば半歩、1歩の差が試合で如実に表れる。リズムが合わず良いスタートを切れるまで続く。



追い込み期間ということもあり、練習が終わったのは20時頃。川井監督が夏までに鍛える「心の粘り」が満載のハードな練習メニューだった。(取材・撮影:細川良介)

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