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【石岡一】甲子園初出場!公立高が強豪私学と互角に戦う術(後編)

2019.6.12

今春のセンバツでは強豪盛岡大付(岩手)に対し、初出場ながら臆することなく戦った石岡一。野球部の4割が実習で野菜の栽培などを学ぶ園芸科、剪定(せんてい)技術などを学ぶ造園科の生徒だ。部員全員が揃いにくいというハンデを乗り越え、今回の21世紀枠に選出された。センバツの熱気冷め止まぬ、5月のグラウンドを訪れた。


効率性を重視したグループ練習と毎日の補食

石岡一の校舎はJR常磐線石岡駅から徒歩5分という好立地にある。水戸市から約30分、土浦市から約15分という利便性も良く、各学年8クラスと県立高としては生徒数も多い。野球部も3学年合わせて75人が在籍している。

だが、人数が多くなるということはその分スペースが必要になる。設備が整う私学と比べると、野球部に割かれたスペースは十分とは言えないかもしれない。普通科と造園科や園芸科の授業が終わる時間は異なるので、平日練習ではいくつかのグループに分かれ打撃や筋力強化などに取り組む。全員自宅からの通いの生徒であるため、練習時間は限られる。学年に関係なくグループを作り効率性を上げざるを得ない環境なのだ。



平日の16時半を過ぎたグラウンドでは、アップをそそくさと終えた選手たちが黙々とバッティング練習を行っていた。他にもグラウンドの脇ではティーバッティングや筋力強化、体育館の端ではゴザを敷いて体幹トレーニング。投手陣は取材当日陸上部がオフということもあり、陸上競技場を借りて走り込みを行い、ローテーションに分かれてブルペンで投げ込みをする。



声出しをする選手はほぼいない。「特に現3年生はおとなしい性格の子が多いです」と林部長が語るように、グラウンドでは大学野球のように、各グループ淡々とメニューをこなす姿が印象的であった。また、後輩たちは先輩に萎縮することなく「ここを鍛えるためにはどうすればいいですか?」「ちょっとフォームを見てください」と積極的に話しかけけていた。そんな光景を見ると、チームの風通しの良さを感じた。

辺りが暗くなり始めると、マネージャーがお椀山盛りの卵かけご飯を選手に振舞う。川井監督が赴任してから始めた食トレの効果は絶大なようで、今では強豪私学の選手と比べても肉体面で劣ることはない。



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