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【武修館】コンディション管理アプリで指導の質が上がった

2017.10.30

2014年夏に、初となる甲子園出場を果たした武修館(北海道)。さらなる躍進を願い、2017年3月から最新のスマホアプリを取り入れた。日々変化するコンディションと向き合う、チームに迫る。


自立心を追い求めることで出会った最新アプリ

創部40年目にして悲願の甲子園の切符を掴み取ったのは約3年前。就任1年目でチームを甲子園へ導いた小林正人監督は、その当時から選手の自立を促す方法をずっと模索していた。そこで今年の3月から部に取り入れたのが、選手個々の体調を管理するコンディションアプリだ。

北海学園大学のグラウンドを借りて練習を行った武修館高校(北海道)野球部の部員たち
取材当日は秋季北海道大会前。札幌市にある北海学園大学のグラウンドを借りて練習。
3年前は就任115日にして甲子園出場を決めた小林正人監督。
3年前は就任115日にして甲子園出場を決めた小林正人監督。

アプリには睡眠時間や1日の食事量、ケガをしている箇所などコンディションに関する項目があり、それを選手が自分のスマートフォンを使って毎日回答する。指導者は選手の回答を見ることができるうえに、コメント機能も付いているため、その場で選手とコミュニケーションを取ることができる。武修館がこのアプリを導入した背景には、小林監督が求める2つの要素が含まれていた。

「まず1つ目は、選手自身でコンディションを管理できるようになれば自立を促せるのではないかと思ったからです。毎日コンディションを記録することで、自分自身と素直に向き合うことができ、自ら行動することができる大人になると思います。2つ目はスマートフォンを使って選手と指導者が情報を共有し、密なコミュニケーションを取りたいと思ったから。今の世の中、選手も指導者も扱い慣れていて手放せないものがスマートフォン。そう思って、たどり着いたのがこのアプリなんです」。

身体に対する向き合い方の変化
選手の意識改革に成功

自分でコンディションを管理するようになった選手たちは、以前に比べ食事について意見を交わすことが多くなった。また、蓄積されたデータから適切な睡眠時間がわかるため、夜更かしする回数が減り生活リズムも改善された。このような生活習慣の細かな見直しの積み重ねが功を奏したのか、チームのケガ人は飛躍的に少なくなった。

実戦形式の練習で汗を流す武修館高校野球部の選手。
実戦形式の練習で汗を流す線選手たち

「選手のコンディションを把握することで、個々に合ったトレーニングメニューを組むことができます。体調が優れない選手や身体のどこかに痛みを感じている選手はメニューを変更し、ケガの予防に努めました。それによって、驚くほどケガ人が減りましたね。高校球児はどうしても素直に痛いと口にすることが難しいと思います。なぜなら痛いと言えば、レギュラーを外されるのではないかと選手は考えてしまうからです。でも、このアプリのコメント機能を使えば、面と向かって言えないことも言いやすい。選手からの声を尊重することで、指導者と選手の間の信頼関係をより深いものにすることができました」。

ナインの団結力はどこにも負けない武修館高校野球部
ナインの団結力はどこにも負けない!

継続した結果、開始半年にして確かな手ごたえを感じている。その他にも、練習道具には最先端のモノを揃え、野球にとって有益になるものはどんどん取り入れている。こういった貪欲な姿勢が、チームの強さに結びついているに違いない。自立心を育む速度を加速させたナインが北の大地を熱くする。

コンディション管理アプリでチームがこう変わった

選手のコンディションが顔マークで表示されたスマホのアプリ画面
選手のコンディションが顔マークで一目瞭然。

POINTO1:自己管理能力の向上
根本的な生活面を見直すことは、すなわち野球選手としての土台を確認すること。毎日アプリで記録をつけることで、ベストな睡眠時間が把握できるようになり、日々の生活面から自分で管理する大切さを知ったと選手は口を揃える。

POINTO2:練習効率のUP
疲労度や、痛めている箇所などを記入することで、指導者が選手一人ひとりの細部に至るコンディション管理が可能。体調面を考慮しトレーニングをすることでケガを予防することができる。ケガ人の数が減り、練習効率は飛躍的に上がった。

POINTO3:コミュニケーションの活性化
面と向かってなかなか言いにくいことや、伝えにくいものをアプリのコメント欄に記入できる。監督とアプリ内でのやりとりを重ねることで、信頼感が芽生え、チーム内のコミュニケーションの活性化に繋がった。

KEY PERSON:アプリの管理人 寺澤龍平(2年マネージャー)

アプリの管理人 寺澤龍平(2年マネージャー)

選手全員の調子や記入したコメントなど、チーム内全てのことを唯一見られる存在がマネージャーの寺澤くんだ。
「体調が優れない選手にはマッサージをしています。また、気になるコメントを残している選手には話かけて、少しでも良い方向に導けるように心がけています」。

武修館高校

1964年創立の中高一貫の私立校。部活動が盛んで、野球部の他にアイスホッケー部はインターハイで3度優勝を経験。他にも剣道部、陸上部は北北海道を代表する強豪として知られている。
●監督/小林正人●部長/石原敏樹
●部員数/2年生14人、1年生11人、マネージャー3人

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