余裕がなかった初めての夏
――目の前にまで来ていた甲子園切符が、こぼれてしまった。
試合が終わって、周りからは8番を歩かせて、9番となぜ勝負しなかったのかと言われました。9番は6回から投げていた左ピッチャーでタイミングも合ってなかったですし・・・・・・。
初めて監督になっての夏で、自分にも余裕がなかったんでしょうね。初球をしっかり叩いた8番打者を褒めるべきですが、あの当時の私には敬遠する考えが浮かばなかったんです。
――八幡商は当時、県内では圧倒的な強さを誇っていましたね。
あの夏は、周囲からまさか近江高校が決勝まで・・・・・・、ましてやあの八幡商を一時はリードするような試合をするなんて、という見方をされていました。その中で、ああいった経験ができた。ここまで来られて良かった、というのはありましたが、やっぱり日に日に悔しくなったのを覚えています。
夏の大会は3年生にとって集大成の大会ですし、春や秋の大会にはない緊張感がある。そういう試合を経験したのが監督としての出発点ですね。今、ここまで甲子園に出させてもらえるようになったのを思うと、良い経験をしたと思います。
――以降、近江高校は県大会で上位進出する試合が増えましたね。
それから夏は毎年のように八幡商と当たりましたね。次の夏も2回戦、次は準決勝で対戦しました。どちらも負けましたが、その次の平成4年にも八幡商と準決勝で対戦して、初めて八幡商に勝って甲子園に出たんです。(取材・写真/沢井史)
*インタビュー後編に続きます
関連記事
-
林優樹(近江)「甲子園は力以上のものを発揮出来る場所」2018.12.20
選手 -
【近江】苦労する冬場の練習メニュー2018.12.19
学校・チーム -
【近江】全員で声を出しながらボールを追いかける「全員の空間」2018.12.17
学校・チーム -
【膳所】「データ野球」を武器に斬新なシフト、頭を使う野球で勝負2018.9.20
学校・チーム -
【彦根東】「ないことを嘆くのではなく、あるものを探す」(村中監督)2018.7.3
学校・チーム -
【彦根東】課題を与えて考えさせる、3季連続甲子園を狙う文武両道校2018.7.2
学校・チーム
- 1
- 2