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【膳所】「データ野球」を武器に斬新なシフト、頭を使う野球で勝負

2018.9.20

昨年発売した『甲子園を目指せ!進学校野球部の勝利への方程式』に続き、今年も『甲子園を目指せ! 進学校野球部の奮闘の軌跡』が辰巳出版より発売!
取材した高校の中から、滋賀県立膳所高校野球部の本書掲載内容の一部を紹介します。


「甲子園を目指せ! 進学校野球部の奮闘の軌跡」滋賀県立膳所高校 編



すべては1本の道につながっているーー
野球と勉強、どちらも絶対にあきらめない! (本書より)


毎年入部した選手の良いところを掛け合わせてのチーム作り。専門データ班の分析データを活用して戦う。


「専門的なデータ班を作りアプリまで開発」より

膳所は今年、創立120周年を迎える県内屈指の進学校で、各界に多くの著名人を輩出。毎年京大へ多くの合格者を出しており、野球部からも毎年2、3人の現役合格者を送り込んでいる。今春、59年ぶりにセンバツの21世紀枠校として選出され大舞台を踏んだ。その選出の理由はこうだった。「限られた時間での練習や試合での効率性を高めるためデータを重視。野球経験のないデータを管理する専属部員を置き、部員らで練習メニューを考えている」。

特にこの中で話題になったのが「データ班」の存在だ。データ班とは、野球部経験者以外の部員が、自校、対戦相手のデータを収集して分析し、試合に生かす、いわばスコアラーのような役目だ。
「ウチのような野球の技術に長けた選手がなかなか集まりにくい学校は、本気で勝つための武器を持たないといけない。そう思った時、データを活用した野球ができないかと。控え部員にやらせてもいいのでは、と思われるのですが、そうではなく専門的な役目として設けたいと思ったんです」

上品充朗監督がそう心して募集したのは昨年の4月。1年生を前にした部活紹介の中で当時の主将が呼びかけたところ、手を挙げたのが現2年生の野津風太君と髙見遥香さんだった。野津君は野球経験がなく平日は塾に通っており、髙見さんは書道部と兼部している。そのため普段はグラウンドに顔を出すことはないが、大会前になるとデータを収集し、分析を進めてくれる。

データ班と上品監督の橋渡し役となっているのが清水雄介部長だ。彦根東出身で2009年センバツに同じように21世紀枠で出場した当時、ベンチ入りは果たせなかったが、静岡大時代は大学選手権に出場した経歴を持つ。ただ、高校時代はケガに泣き、試合出場機会も代打がほとんどだった。

「高校時代はケガで思うような3年間は過ごせなかったですけれど、自分自身、高校野球に教えてもらったことがたくさんあったので指導者になって恩返しできれば」と教員を志し、野球部部長になってこの春で3年目。25歳という若さもあり、選手やデータ班部員にとっては兄貴分のような存在だ。

「前の部長先生は僕より年上の方で、選手から見れば監督よりさらに年上で本当にお父さんのようでした。でも清水先生は若くて選手らとの距離感を適度に保てるし、何より彼は真面目で情熱がある。部長就任当初はいっぱいいっぱいなところもありましたが、最近は自身の意見も言ってくれるし、何より優秀な先生だと思います。僕が色々とお願いすることが多くて無理を言ってしまう時もありますが……(笑)」と上品監督。指揮官からの提案を清水部長がデータ班に伝え、彼らの要望も踏まえながら事を進めていくのだが、初めての試みの中、試行錯誤の時期もあった。

「野球を知らないデータ班とのコミュニケーションが当初はうまくいかない時もありました。まず、野球の専門用語を並べると意味が通じない。これを前提だと思って話しても、感覚にズレがあるというか……。体育会系の流れがデータ班にはなかなか理解しがたかったとは思います」。朝が早い野球部の活動時間や、偵察は数時間で終わるものだと考えていたのに実は丸1日3試合、ネット裏に張り付かないといけないなど、データ班にとっては野球にどっぷり漬かるのに慣れるのは時間を要した。だが、数字に関しては並外れた知識を持ち、それをおおいに役立ててくれた。
(文&写真:沢井史)

続きは本書よりお読みください


【掲載高校】

◎県立仙台第二高校(宮城県)
「文武一道」。道は一つ。目の前の課題に全力で立ち向かう
一人一役。守備リーダー、走塁リーダーなど専門性を持って各自がチームに貢献。人間力の強化に取り組む。

◎市立金沢高校(神奈川県)
「こうなりたい」「こうしたい」意志の積み重ねが結果に繋がる
的確な指摘をすれば問題点を修正できる高い能力がある選手たち。練習に明確な意志を持たせ、今夏県のベスト8に。

◎県立掛川西高校(静岡県)
「全員本気・全員野球」勇気を持って戦う姿勢が大切
「甲子園タイム」と称して強豪校の実力を数字で可視化。緻密な数値化で結果につなげ、100%出し切った夏。

◎県立膳所高校(滋賀)
「データ野球」を武器に斬新なシフト、頭を使う野球で勝負
毎年入部した選手の良いところを掛け合わせてのチーム作り。専門データ班の分析データを活用して戦う。

◎県立松山東高校(愛媛県)
「誰かのためにやりきる」1球に熱中できるチーム作り
「勝利」を意識して、みんなで掴む野球ができた。監督就任3カ月で感じた手応え。

◎県立東筑高校(福岡県)
考えさせる大人の野球を実践。日本一短い練習で、日本一強いチームに
怒鳴らない、強制しない、決めつけない。将来を見据えた指導で選手を伸ばす。「生徒は勉強を一番に頑張って欲しい」の真意とは?


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