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【2019年ドラフト】注目の高校生まとめ(野手編)

2019.10.17

いよいよ今週木曜日に迫ったプロ野球ドラフト会議。Timely!WEBでは昨年11月から2019年の高校生ドラフト候補を39人紹介してきたが、ドラフト会議直前ということもあり、改めて今年の高校生のドラフト候補について総括したいと思う。まず今日は野手編。


*「投手編」はこちら

1位指名の12人に入ってくる可能性が高そうなのが石川昂弥(東邦)だ。入学直後から大器と評判で、2年連続で選抜に出場し、今年は決勝戦で2本のホームランを放つ大活躍を見せてチームを30年ぶりの優勝に導いた。しかし石川の評価が上がったのは夏の大会終了後に行われたU18W杯だ。多くの選手が木製バットに苦しむ中、対応力の高さを見せて全試合4番として十分に働きを見せたのだ。春までは踏み込みがどうしても弱く、リストの強さに頼って右方向の打球が多かったが、夏はしっかりと強く引っ張れるようになった。パナマ戦で打ったホームランも内角のボールを見事に引っ張ってレフトスタンドへ持っていったものだった。強肩も持ち味で、今の日本球界に不足している強打のサードとして貴重な存在と言えるだろう。



石川以外の強打者タイプでは井上広大(履正社)菊田拡和(常総学院)の二人が続く存在だ。井上は春までは脆さがあったものの、この夏は見違えるように勝負強くなり一気に評価を上げた。金属バットの影響が大きい打ち方という声もあるが、タイミングをとる動きに無駄がなく、ミートする技術も高い。何よりも夏の甲子園で放った3本塁打の相手が鈴木寛人(霞ケ浦)、前佑囲斗(津田学園)、そして奥川恭伸(星稜)というのが井上の凄さを物語っている。



菊田はTimely!誌面上で行ったスイングスピード選手権で1年秋に当時最速をマークしているように、そのヘッドスピードと長打力は間違いなく全国トップクラス。井上に比べると少しタイミングのとり方が淡泊で緩急への対応には課題が残るものの、パワーと飛距離では決して負けていない。プロでも中軸を打てるだけのポテンシャルを秘めた選手である。



完全なホームランバッターというタイプではないが、強打の内野手として注目なのが紅林弘太郎(駿河総合)黒川史陽(智弁和歌山)の二人だ。紅林は186cmの大型ショートで、粗さはあるもののスケールの大きさが魅力。黒川は下級生の頃から中軸で、先輩の林晃汰(広島)に比べてもパワーは劣るが確実性は上である。紅林はショートから見せる強肩、黒川は脚力と丁寧なフィールディングにも特長があり、ともに4月の日本代表候補合宿にも召集された。残念ながらU18W杯の代表には選ばれなかったが、その悔しさを胸にプロの世界で飛躍してもらいたい。





三拍子揃ったリードオフマンタイプでは森敬斗(桐蔭学園)が代表格となる。プレーの確実性にはまだまだ課題はあるものの、抜群の運動能力を生かしたスピード溢れる攻守は見ていて気持ちよさを感じる。U18W杯では慣れないセンターも無難にこなし、全試合1番バッターとしてチームを牽引した。体は大きくないがパンチ力もあり、場合によっては上位指名に繰り上がってくる可能性も十分にあるだろう。

森とともにU18W杯の代表に選ばれた武岡龍世(八戸学院光星)韮沢雄也(花咲徳栄)遠藤成(東海大相模)もプロ志望届を提出したが、ショートらしさで言えば上野響平(京都国際)近藤大樹(西日本短大付)済木龍輝(佐賀商)川野涼多(九州学院)の四人も負けていない。上野と近藤は守備、済木は攻守のバランス、川野はスピードとそれぞれ特徴があり、3年時に甲子園で活躍していたら十分に代表に選ばれていた可能性もあるだろう。







最後に紹介したいのが人材が豊富な捕手。総合力では東妻純平(智弁和歌山)がわずかにリードしているように見えるが、山瀬慎之助(星稜)藤田健斗(中京学院大中京)もこの夏に評価を上げており、大きな差はないように見える。



また他にも持丸泰輝(旭川大高)渡部雅也(日大山形)橋本大樹(山村学園)水上桂(明石商)神宮隆太(西日本短大付)江川侑斗(大分)なども十分に指名されるチャンスはあるだろう。





冒頭でも触れたように一昨年、昨年と比べると大物は不在だが、数年後に面白いという選手は決して少なくない。近年は高校生野手の評価は高まっているだけに、思わぬ順位で指名される選手が出てくることも十分に期待できるだろう。(西尾典文)


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