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【2019年ドラフト】注目の高校生まとめ(投手編)

2019.10.16

いよいよ今週木曜日に迫ったプロ野球ドラフト会議。Timely!WEBでは昨年11月から2019年の高校生ドラフト候補を39人紹介してきたが、ドラフト会議直前ということもあり、改めて今年の高校生のドラフト候補について総括したいと思う。まず今日は投手編から。


投手では佐々木朗希(大船渡)奥川恭伸(星稜)の二人が目玉となっているが、下級生の頃から飛び抜けた存在だったわけではない。この世代で高校入学時に最も騒がれた存在は及川雅貴(横浜)だった。中学時代にはU15の侍ジャパンに選出され、鳴り物入りで名門横浜に入学。1年夏には早くも甲子園での登板を果たし、最速145キロをマークしている。その後は成長痛に悩まされたこともあって秋、冬にその名前が聞こえてくることもなかった。








その間に浮上してきたのが奥川だ。1年秋から主戦となると、北信越大会で準優勝。続く2年春から4季連続甲子園出場を果たすことになる。しかし奥川も最初から目玉という評価だったわけではない。2年夏には150キロをマークしているが、当時はまだまだ安定感には欠ける印象だった。
 
2年夏の時点で最も輝きを見せたのが西純矢(創志学園)だ。岡山大会では引地秀一郎(倉敷商→楽天3位)に投げ勝ち、甲子園でも初戦で優勝候補の創成館を相手に16奪三振、無四球完封という圧巻のピッチングを見せている。また、佐々木は夏の岩手大会で1試合の登板に終わったものの、154キロをマークしてこの頃から怪物と呼ばれるようになった。



前置きが長くなったが、このような状況で昨年秋の時点では佐々木、奥川、西、及川の4人が“高校ビッグ4”と呼ばれる状況が始まり、今年のドラフト戦線がスタートしたのである。

そして今年の春からは佐々木と奥川が互いに刺激し合いながら、浮上してきた印象だ。まず選抜では奥川が履正社を相手に圧巻のピッチングを見せて大会ナンバーワン投手の評価を得ると、佐々木は4月に行われた高校日本代表候補合宿で163キロをマーク。夏は更に公式戦でも佐々木が160キロを叩き出し、奥川は甲子園で智弁和歌山を相手に延長14回(13回からタイブレーク)で23奪三振と歴史に残るピッチングを見せた。互いに切磋琢磨してレベルアップしてきたことは間違いないだろう。

西も最終学年で甲子園の土を踏むことはできなかったが、U18W杯で佐々木と奥川の状態が不十分な中エース級の働きを見せて再び評価を上げた。高校生では3番手という立ち位置は不動のものとなっている。一方の及川は選抜での乱調、夏の神奈川大会でもリリーフに失敗してベスト8で敗れたことで少し評価を下げた印象だ。ただ素材の良さは申し分ないだけに、2位以内に入ってくる可能性は高いだろう。

最終学年になって評価を上げてきたのが宮城大弥(興南)鈴木寛人(霞ケ浦)の二人だ。宮城は春の九州大会で圧巻のピッチングを見せ、夏は沖縄大会では決勝で敗れたものの、U18W杯では西とともに見事な活躍を見せた。サウスポーの候補はどのカテゴリーにも多くないだけに、上位指名の可能性は高い。鈴木は夏の甲子園初戦で履正社に打ち込まれたものの、悪いクセのないフォームから投げ込む角度のあるボールは魅力に溢れている。毎年好投手を輩出している霞ケ浦の中でも素材の良さはナンバーワンであり、こちらも有力な上位候補と言えるだろう。





その他では右投手なら堀田賢慎(青森山田)井上広輝(日大三)岡林勇輝(菰野)前佑囲斗(津田学園)落合秀市(和歌山東)浅田将太(有明)





左投手なら井上温大(前橋商)玉村昇悟(丹生)などが有力候補になる。右投手の6人は全員が150キロ前後の最速を誇り、中でも井上は完成度、堀田はスケールがあるだけに巡り合わせ次第では上位指名も考えられる。





サウスポーの二人はストレートアベレージは140キロ程度だが、フォームの良さは出色で将来性には太鼓判が押せる。左腕不足のチームには狙い目の選手だ。また岡林は長打力と俊足を兼ね備え、野手としても魅力十分だ。







未完の大器タイプでは赤塚健利(中京学院大中京)谷岡楓大(武田)小峯新陸(鹿児島城西)の三人が面白い。赤塚と谷岡はフォームに課題は残るものの150キロ前後のストレートは勢い十分。逆に小峯はストレートは130キロ台後半程度だが、長身でフォームの良さに特長がある。二軍でしっかり育てられる球団にはぜひ獲得を検討してもらいたい。







今年は少しサウスポーは少ないものの、目玉から下位指名候補まであらゆるタイプの投手が揃い、豊作と言い切っていいだろう。ここで紹介した選手がどの球団にどの順位で指名されるのか、当日はぜひ注目してもらいたい。(西尾典文)

*明日は野手編をお届けします*


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