学校・チーム

強豪・八千代松陰中に学ぶ野球ノート活用法 前編

2015.12.18

 千葉県八千代市にある私立八千代松陰中学校。中高一貫教育が特徴の進学校で、東京大学への合格者も輩出している。中学校の野球部は、2014年春に全日本少年軟式野球大会に出場。就任5年目の前島薫先生は言葉を書きとめること、自ら言葉で表現することに重きを置いた指導で、選手自身の考える力を養っている。
 なぜ、野球ノートを書く必要があるのか。また、日頃チームではどのように活用しているのか。せっかく書いているのに、書きっぱなしではもったいない。
 前島監督、笹川快渡くん(3年生/キャプテン)、高嶋公くん(高校1年生/学生コーチ)に、野球ノートの取組みについて語ってもらった。


<前島監督のコトバ>
【野球ノートのルール】
1.自由記述
2.B5サイズのノートを推奨
3.週1回提出
4.表紙にチームのテーマを記す


★文字で残すことで、可視化され、すべきことが明確になる


「自分で決めた目標を、どのようにすれば成し遂げることができるのか。日々の計画を立てて、目標に向かっていく。野球ノートを書く狙いは、ここにあると思います」
 選手が実際に書いているノートを前にしながら、野球ノートの意味を語る前島監督。項目はあえて設けずに、自由記述で取り組んでいる。
 なかには絵を使いながら、ボールの握りやストライクゾーンを表現する選手もいた。項目を作ると、こうした自由な表現が制限されがちである。
人の記憶とはあいまいなもので、どんなに強烈な出来事であっても忘れてしまう。ずっと、細かく記憶し続けていることは不可能に近い。何か壁にぶつかったときや、自身の行動を振り返るときに頼りになるのは、記憶よりも記録だ。
「だからこそ、記録する。できれば、より具体的に細かく記録したほうが、のちに振り返ったときに、思い出しやすくなりますよね」
 書くことで、「文字が残る」という利点も大いにある。
「文字に残せば、可視化することができます。目に見えるものとして確認ができる。何となく頭のなかで考えているよりも、文字で書き起こしたほうが明確になることが多いはずです」


★先の目標を設定し、今何をすべきかを確認する
 八千代松陰中ではその代によって、野球ノートの使い方も変えていて、今年のチームは先頭のページに年間のカレンダーを貼っている。この冬から来年の夏に向けての予定が一目でわかるように、という意味だ。大人が使う手帳と、意味合いは変わらない。
 学校のテストがいつ入ってくるのか。公式戦まであと何日あるのか。先の予定がわかっているからこそ、「今」何をすべきかが見えてくる。大人に比べると、まだまだ視野の狭い中学生はえてして目の前のことに一生懸命になりがちだ。日々突っ走り続けるのも悪いことではないが、先にあるゴールをしっかりと見据えたうえで、今の取り組みに集中したい。
 そして、ノートの表紙にはチームのテーマも合わせて記入している。これも、先を見ることにつながるが、朝練、授業、練習、塾と、時間に追われながら過ごしている中学生も少なくない。そんなときに思い起こしてほしいのが、「チームのテーマ」だ。チームとして何を一番大切にしているのか。進むべき方向性がぶれないように日々確認できる工夫である。
 ちなみに旧チームのテーマは「改進撃」で、今年の1、2年生は「NEXT ONE」。何ともカッコイイフレーズだ。「次のプレー、次の行動を重視しよう」という意味が込められているという。



★その日の練習を振り返る習慣をつけ、成長につなげていく


「ノートは自由記述」とは書いたが、伸びる選手のノートには共通点があるという。それが、「PDCAサイクル」というキーワードだ。Plan(計画や目標を立てる)、Do(実際にやってみる)、Check(やったことを振り返る)、Action(次への目標や改善を行う)のサイクルである。
「ノートのなかに、PDCAサイクルがしっかりと書かれている選手はよく考えてプレーしていると思います。大事なことは、うまくいかなかったときに『どうすればよくなるのか』という改善策を自分なりに考えること。そうして、ノートに改善策を記す習慣をつけてほしい。『これができた。これはできなかった』だけでは次の日につながっていきません」
 PDCAサイクルでいえば、CのCheckの部分だ。練習が終わり家に帰ってから、その日の練習を振り返り、自分が練習したことを改めて確認する。何となく1日を終えるのではなく、区切りをしっかりつけて整理する。それが、次の1日へとつながっていくのだ。
 まさに、新チームのテーマである「NEXT ONE」につながる話でもある。今日より明日をいかによりよい1日にしていくか。そのために、野球ノートは有効なツールである。

次ページへ続く




野球ノートでPDCAサイクルを実践してみませんか?

「進研ゼミ 部活応援キャンペーン」で野球ノートを無料でプレゼント実施中!!

さらに抽選で300名様にiPad miniなど豪華景品が当たる!!



PICK UP!

新着情報