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【星稜】選手座談会(前編)|スタイルが固まったのは準々決勝の仙台育英戦

2019.10.1

夏の甲子園で準優勝を飾った星稜高校。昨年の秋から色んな体験をしてきたメンバー、岡田大響くん、福本陽生くん、奥川恭伸くん、山瀬慎之助くん、東海林航介くん、寺沢孝多くんにこの1年間、そしてこの夏の甲子園を振り返ってもらいました。


スタイルが固まったのは準々決勝の仙台育英戦


——夏の甲子園では準優勝を果たしましたが、昨秋から本当に色んな経験をしてきた1年間でしたね。

寺沢 センバツは優勝目指してやっていたのに、負け方が(昨秋の明治神宮大会の)札幌大谷戦と同じで......ミスが絡んで負けてしまったので、あの頃はまず何かを変えないといけないと思ってきました。

東海林 4月から6月は(謹慎処分で)林先生(監督)もいなかったので、自分たちでミーティングをしながら、自立しようと言い合っていました。


——自分たちで考えることから取り組んだ?

寺沢 自分たちでやっていかないといけないことは分かってはいたんですけれど、試合ではチームのスタイルが確立できなかったんです。打つこと、守備、小技......どの要素でもチームとしてはなかなかはまる所がなくて。

福本 練習では、一か所バッティングをしながら、打者一巡する時に何点取るとか目標を決めながらやっていました。そうすることで内容が濃くなってはいました。

岡田 チームとしては、林先生が帰ってきたら「変わったな」って言われるようにしたいね、とは言っていたよね。

寺沢 でも、公式戦を勝っていてもチームがさまよっている感じはありました。「これだ!」っていうプレースタイルがなかなか固まりませんでした。


——春の北信越大会を優勝した時も?

寺沢 そうですね。石川大会でも優勝できたし、勝ち切ったことは良かったのですが、野球自体がしっくり来なかったんです。

山瀬 そうなんです。勝てたのに勝てた気がしなかったというか......

福本 手応えがあまりなかったよね。

岡田 そうだよね。

東海林 去年の秋も、春も、北信越大会で優勝しても達成感というより、ひとつの大会が終わったという感覚でした。

山瀬 このままでは夏までに納得のいく試合ができないと思いました。


——反対に、自分たちのスタイルが固まりだしたのはいつ頃から?

東海林 それが、甲子園に入ってからなんです。(準々決勝の)仙台育英戦?


——そうだったんですね。確かに今夏は石川大会から苦しい試合が多かったですもんね。

寺沢 もっとやれると思っていても、うまく力が発揮できてなかったというか......東海林なんてもっとすごいのに、県大会ではなかなか力を出せていなくて。石川大会は調子のいいヤツ、悪いヤツがはっきりしていたのでトータルで見ると力は平均、みたいな感じでした。

福本 自分も県大会では全然打てなくて......

寺沢 それが、福本は(3回戦の)智弁和歌山戦でサヨナラホームランを打ってお立ち台に立って。その次は今井(秀輔)とか日替わりヒーローが出てきたので、それこそが星稜の目指すスタイルだったんです。

奥川 でも智弁和歌山戦は延長のタイブレークになって完全な星稜の負けパターンだったので......。負けたくないというより、負けても仕方ない、と割り切れたのが良かったです。


——岡田君は甲子園ではコンスタントに打率を残していましたよね。

東海林 岡田は知らないうちに打っているんです(笑)。

寺沢 岡田がめっちゃ打っているって誰も気づいていないと思いますよ(笑)。

福本 確か、チームで打率1位だったよね。

寺沢 自分はこの夏通算15打数9安打だったんだけとな…

岡田 この夏は打率が5割を超えました。


——東海林君はポイントポイントで打っていましたよね。

東海林 打てなかった時は正直、1番初めに打席に立つのがイヤでした。自分が出なきゃって思いすぎてしまって。

寺沢 でも、ここっていうところで打ってくれるのがさすが1番っていう感じなんですよ。チーム全体で県大会から見たら、もっとできるっていう気持ちはありましたね。星稜は打てないし、こんなもんだって思われるのがイヤで。だから仙台育英戦で、ようやく自分たちの目指していた野球ができたと思いました。


——力を発揮できなかったのは、やはり力みがあった?

東海林 そうですね。初戦(旭川大高に1−0で勝利)は特に、打とうと思いすぎていました。ただ、打席に立つにつれて楽しもうって思えてきたような。

福本 そうだよね。夏の石川大会が終わった時点で、自分は出番が少ないので甲子園では楽しもうって思えるようになりました。

岡田 自分も開き直って打つしかないと思いました。

後編「最高の相手と決勝戦で戦えて良かった」に続きます
(取材・写真/沢井史)


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