学校・チーム

「感覚を言葉にする」浦安中野球部員に聞いた野球ノートのつけ方

2016.5.12


 千葉県浦安市にある市立浦安中学校。2011年秋には千葉県大会準優勝を果たすなど、県内の強豪として知られている。当時のエース角谷幸輝は、専大松戸高で2015年夏の甲子園のマウンドを踏んだ。
 チームを率いるのは成田俊監督。野球の技術指導だけでなく、チームの組織作り、マネージメントに力を入れる指導者である。選手の主体性を引き出す指導に長けており、自分の言葉で考えを語れる選手が多い。
 毎年、野球ノートにも力を注いでいる。ただ、今年からやり方を変えたという。成田監督によると、変えたことによって、ノートの内容が充実してきた選手が多いそうだ。はたして、何を変えたのか?野球ノートを熱心につける球児3人に、書く意味や書くことでの気づきについて語ってもらった。


◆中村航大くん「毎日のルーティンと走攻守の気づきを書いています」

▼成田先生から一言
「1年生のときから真面目で、ノートをしっかりと書ける選手でした。自由に書いていいよとなってからは、自ら工夫を凝らすようになっています」

――野球ノートを書くことでの意味を、どんなふうに感じていますか。
「やるべきことが頭にインプットされて、練習中にもそれを意識できるようになりました。今、自分に何が足りないかもわかるので、書くことの意味を感じています」


――「自由記述」だそうですね。
「はい、昨年は書く項目が決まっていたんですけど、今は自由。何を書いてもいいし、成田先生からのチェックもありません」

――「自由」といわれると、逆に難しい面もあると思いますが、どんなことを書いていますか。
「自主練習を含めた毎日のルーティンチェックと、走攻守にわけての気付きを書いています。体重も毎日チェック。日曜日が終わったあとには、1週間の振り返りをして、翌週の目標を決めています」

――成田先生からコメントが欲しいときはありませんか?
「書いている内容が合っているのか、見てほしいときもあるんですけど、不安や疑問に思う点は直接聞くようにしています」

――表紙には「日本一」と「他喜力」「成信力」「苦楽力」という言葉が書いてありまね。
「表紙はいつも目にするところなので、パッと見て、目標がわかるようにしています。3つの言葉は、チームで大切にしていることで、他喜力はお世話になった人を喜ばせる力、成信力は成功を信じる力、苦楽力は苦しいことを楽しめる力という意味があります」

 ――1日の生活リズムのなかで、野球ノートはどのタイミングで書いていますか。
「家に帰ったあと、自主練習を必ずやって、夕飯を食べたあと風呂に。風呂のなかで、野球ノートを書く内容を考えることが多いです。1日だけであれば15分ほど、週の終わりは30分ほどかかります」

――ベネッセの野球ノートも書いてくれたそうですね。使ってみての感想を教えてください。
「『悪かったこと』という項目があるんですけど、どうしても悪いことばかり思い出してしまうので、改善方法を書く項目があったほうがいいと思いました。そうすれば、悪かったこともプラスに考えることができると思います」


 ◆泉澤旬くん「感覚を言葉にしています」


▼成田先生から一言
「野球大好きで研究熱心な選手です。1学年上の先輩がいたときから、ノートを書く量はナンバー1。ケガで試合に出られない時期があったんですけど、ベンチで私がぶつぶつ呟いていることをすべてメモしていたこともありました」

 ――ルーズリーフに書いているんですね。斬新!
「ルーズリーフのほうが、ひとつにためることができると思って、使っています。項目ごとにわけたりもできるので、こっちのほうが書いていて面白いです」

――雑誌の記事を貼ったりもしているんですね。
「はい、自分に生かせるようなことがあれば、切り取って貼っています」

――ノートを書くうえで気をつけていることはありますか。
「感覚を言葉にすることです。気づいたことを、できるだけ言葉にする。あとは、課題が出てきたときに、課題を挙げるだけでなく、それを克服するためにどうすればいいかを書くようにしています」

――書いてみての気づきはありますか。
「練習中であっても、『何かおかしいな』と思うことがあれば、ノートを見返して、重要事項を確認するようにしています。自分で特に大事だと思うところは、印をつけて、いつでも目立つようにしているんです」

――自由に書けるようになってからの発見はありますか。
「思ったことをどんどん書けるので面白い。書きすぎてまとまっていないところはあるんですけど(笑)。先生のチェックがあったときは、先生に見てもらうために書いているところがあったんですけど、今は自分の技術向上と発見のために書いているので、楽しいです」


 ◆山田亮太くん「ノートを振り返ることが多くなりました」


▼成田先生から一言
「最近、しっかりと書けるようになってきた選手です。学校生活の面でも大きく成長して、大人に近づいてきている。人間的な成長が、ノートの中身にもつながっているように思います」

――成田先生から「書けるようになってきた選手」と教えてもらいました。
「以前はやらされている感じがあったんですけど、ノートの書き方を変えてから、自分でも書くことが楽しくなってきました。自分のために書くようにしています」

――中身はどのように変わりましたか。
「自分のためだと感じてからは、ノートを振り返ることが多くなり、課題に対して自主練習でこういうことをしようと考えることも増えました」

――チームの目標は日本一。どうしたら、実現できると思いますか?
「入学する前は日本一なんて考えたこともなかったんですけど、成田先生に出会ってから、日本一になりたいと思うようになりました。夏の大会まで、詰められるところを詰めていって、自主練習も毎日やっていけば、日本一になれると思っています」

――いまのチームの課題はどんなところですか?
「二枚目以降のピッチャー、瞬間のプレーの声出しです」

 ――瞬間のプレー?
「はい、ランナー一塁でセンターフライが上がったら、『14メートル!』(ハーフウェイ)というように数字で伝えるようにしています。今はまだこういう声が少ないので」

――最後に…、表紙の字が中身の字と違うのが気になったけど。
「クラスで、隣の席の子に書いてもらいました。自分は字が下手なので……」



 

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