カラダづくり

【益田東】結束力で甲子園へ!全員で培う人づくりが誇り

2018.11.7

島根は39校だが、簡単に甲子園には行けない

寝食をともにしたからこそ磨かれる一体感。それは野球にも生かされる。大庭監督は「人数は多いほうがいい」と言い切る。その根拠を熱く説明した。

「同じ声を出すにも、1の力より、10の力の方が大きい。そして一人の個性が集合体になったとき、膨大な力を生むんです。一人一人の能力を確立させるために、ウチは全員が同じ練習を同じ量行います。上手い選手の練習時間が減っても、これがウチのスタイルです。一人一人に目を向け『みんなで』という言葉をどこよりも大切にしているのが自慢です」。

副キャプテンでサードコーチャーの乾颯汰選手(3年)は益田東の強さのルーツを「一つのことに一丸となる力の大きさだと思います」と言う。「島根は39校しかないけれど、簡単に甲子園に行けるわけではありません。秋に開星に負けたとき、キャプテンの荻野(竜志)と徹底的に話し合いました。慣れ合いをやめて、全員で同じ目標に向かったから、夏、開星に勝つことができたのです」。

7人が同時に打つことができる打撃練習は大人数の野球部ならではの工夫。「全員が同じ量の練習を」がモットーだ。


「人間力を作ることならどこにも負けない」と話す大庭監督。昔とは違って、選手に考えさせる時間を多く取っている。選手投票により4軍分け制度もその一つだ。

練習試合は、138人の選手を4軍に分けて行う。呼び名もユニークで、1軍はヤンキース(メジャー球団名)、2、3軍はジャイアンツ、タイガース(プロ野球団名)、4軍はルーキーズ(1年生主体)。外部コーチ合わせて計9人の指導者が付き、多い時は1日4カ所に分かれて試合を行う。結果で昇格する“メジャースタイル”のやり方だ。4軍の振り分けは、ポイント制の総選挙。選手一人一人が投票をしていき「選ばれた仲間」が公式戦のユニホームを着るという仕組み。「選ぶ責任」と「全員野球」のこだわりが表れている。

練習はメリハリをつけて行う。グラウンドの横に「甲子園坂」と呼ばれる心臓破りの急な坂があり、この坂をダッシュで10往復するのが名物練習だ。入学時から球速が35キロアップしたエース和田晃成投手(3年)も、この練習で下半身が強くなった。時代が変わり、大庭監督が経験してきたような「猛練習」はなくなったが、年末だけは近くの山や海岸を「3日間で計100キロ」走り、1年を締めくくることになっている。達成感と結束力がつく益田東の伝統的な恒例練習だ。


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