カラダづくり

鉄分とフライパン

2016.2.18

 鉄分は日本人に不足しがちな栄養素の一つであると言われています。特に日頃から運動をするアスリートは、発汗によって水分とともに鉄分やミネラル分が失われてしまうため、普段の食事においても鉄分を意識してとることが大切です。

 鉄分が不足するといわゆる貧血(鉄欠乏性貧血)を起こすことがあります。貧血とは血液中の赤血球数やタンパク質の一種であるヘモグロビン濃度が低い状態のことを指しますが、酸素運搬に欠かせないヘモグロビンが鉄分不足によって合成されなくなってくると体の隅々にまで必要な酸素を届けることができず、それぞれの細胞でエネルギーを充分に作れなくなるため、全身持久力が低下し、スタミナ不足、疲れやすいといったことが見られます。

 普段から鉄分を意識してとっている選手の中には「鉄分といえばヒジキや切り干し大根」と思いつく人もいるでしょう。ところが2015年12月、文部科学省は5年ごとに更新される日本食品標準成分表の改訂版を公表し、ヒジキの鉄分は100gあたり55mgあった鉄分が6.2mgへ、切り干し大根は100gあたり9.7mgから3.1mgとともに大幅な修正となりました。この背景には料理を作るお鍋やフライパンなどが鉄製のものから、ステンレス製のものが主流になっていることを挙げています。鉄製のもので作った料理には微量の鉄分が含まれることがわかっていますが、こうした機会そのものが減ってきていることを示す一例であると言えるでしょう。

 鉄分には、主に肉・魚などの動物性食品に含まれるヘム鉄と植物性食品や卵・乳製品に含まれる非ヘム鉄の2種類があります。ヘム鉄は体内への吸収率が高く、非ヘム鉄はヘム鉄と比較すると吸収率が低いといわれています。ただし非ヘム鉄はタンパク質やビタミンCを多く含む食品と一緒に摂取することで、体内への吸収率がよくなるといわれており、食べ合わせを考えて食事を取るように工夫したいですね。

《ヘム鉄を多く含む食材の例》
 あさりの佃煮、煮干し、干しエビ、豚レバー、鶏レバー、牛レバーなど

《非ヘム鉄を多く含む食材の例》
 青のり、昆布、パセリ、唐辛子、枝豆、小松菜など

食品成分表は文部科学省のウェブサイトでも見ることができます。
参考ページ)日本食品標準成分表2015年版(七訂)

  ひじきに含まれる鉄分は鉄鍋由来だったことが判明



 



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