なるべくみんなの前で褒める
――2022年に創価大監督を退任後、2023年9月に創価高の監督に就任。わずか2カ月で秋季東京大会準優勝と結果を残しました。アプローチを変えたのでしょうか?
堀内 野球部員は試合に出ていない子のほうが多いわけです。理想は試合に出ていない生徒本人や保護者から「ありがとうございました」「おかげさまで成長できました」と言われること。生徒たちには折に触れて「ありがとうな」と声をかけています。
――先ほど来客用のコーヒーを入れてくれた部員に、堀内監督が「いつもありがとう」「おまえの入れてくれたコーヒーはうまいんだよな」と感謝を伝えていたのが印象的でした。
堀内 あの子の入れたコーヒー、おいしいでしょ?(笑)。彼はベンチ入りメンバーには入っていないんですが、野球の技術以外にもいいところがあれば褒めるようにしています。それもなるべく、みんなの前で褒める。
――選手は意気に感じるはずですね。
堀内 逆にこちらが間違ったと思ったら、生徒に対して謝ります。たとえば私が出すべきサインを間違えたら「ごめん!」と言います。昔なら「おまえ、おかしいと思わんか? タイムかけろや!」と言っていたかもしれませんが(笑)。
――選手に対して自分の非を詫びるのは、抵抗がある指導者も多いかもしれません。
堀内 松山商にいた高校時代、バントを失敗した日に当時の窪田欣也監督から「朝5時からバント練習をやれ!」と命じられて、本当に朝の4時に起きてバント練習をやったことがあったんです。さすがに監督も5時からやるとは思わなかったようで、あとになって「堀内、知らなくて悪かったな」と謝られたんです。その時に「監督なのに謝れるなんてすごいな」と思ったんですよね。子どもたちだって監督が間違えればわかるし、「なんだよ」と愚痴も言いたくなるはずです。私も試合中に「ごめん、間違えた!」と謝ると、ベンチに笑いが起きていい雰囲気になるんですよ(笑)。(取材:菊地高弘/写真:編集部)
(後編へ続きます)
関連記事
-
【創価】堀内尊法監督|環境が乱れると、心も乱れる2024.1.31
学校・チーム -
【市立船橋】海上雄大監督|部長時代に感じた試合当日の違和感、監督に共有しなかった後悔2024.1.4
学校・チーム -
【市立船橋】海上雄大監督|大事なことは「ミーティング」でしっかり伝える2024.1.13
学校・チーム -
【聖光学院】斎藤智也監督|屈辱的な大敗から学んだ「パワーアップ」の必要性2023.12.15
学校・チーム -
【近江】多賀章仁監督|「勝った」と油断・・・手痛い逆転負けが監督としての出発点2023.12.6
学校・チーム -
【享栄】大藤敏行監督|仕掛けなかった、挑戦しなかったことに対する悔い2023.11.24
学校・チーム -
【履正社】夏に勝つ為に必要になる、複数投手の育成2023.11.10
学校・チーム -
【明豊】川崎絢平監督|初めての甲子園で痛感した、事前対策の重要性2023.11.1
学校・チーム -
【日大三】三木有造監督の失敗と後悔、2006年西東京大会決勝での後悔2023.7.27
学校・チーム -
【広陵】進化する名門、Instagramで「野球の楽しさ」発信2023.7.25
学校・チーム -
【山梨学院】吉田洸二監督|「万全の準備」で臨むことの大切さを学んだ、初戦敗退2023.7.22
学校・チーム
- 1
- 2