色んな監督の良い部分は学んで取り入れていきたい
この日もキャッチャーが専門の外部コーチが指導に訪れており、バッテリーの指導については相談しながら行っている様子が見られた。自身の経験だけではなく、そういったネットワークを駆使できることも田中監督ならではの強みと言えそうだ。まだ就任から1年だが、この春は地区予選を勝ち抜いて県大会出場を果たすなど徐々にチームも変化が見えてきている。また物足りないと感じていた選手についても、自身の現役時代とは違う良さもあるそうだ。
「まず素直な子が多いのは良いことだと思いますね。こちらの話を適当に流すようなこともなく、しっかり受け止めようとしてくれます。今まで知らなかったことが多いというのもありますけど、そういう姿勢があるからチームも変わってきているのだと思います。春の地区大会も雨でラッキーな部分も多かったですけど、(同じ地区の強豪である)愛産大三河に勝てたのは大きかったですね。まだ足りないところだらけで、選手は本気で『甲子園を目指しています』と言えるところまでは来ていないですけど、自信になっていることは増えていると思います」
最後に今後の目標、目指すチームについて聞いた。
「自由に自主性、主体性を持ってというのはもちろん大事ですけど、(前編の)最初にも言ったようにチームとしての規律も大事です。まだ自分も試行錯誤している状況なので、色んな監督の良い部分は学んで取り入れていきたいとは思っていますね。でも監督の自分が何から何まで全てを教えるのではなく、最終的には選手が自分で成長して勝つ。僕はそのためのヒントを与えて手助けしてというのが理想だと思っています」
この日は大会直前ということで実戦的な練習が中心だったが、監督自らが指示を出しながらも、選手がサインを出しながら行うなど自主性を尊重するような取り組みも見られた。また実戦練習に加わっていない選手は打撃やトレーニングなど個別のレベルアップに取り組む姿も印象的だった。激戦の愛知の中で今後田中監督が指揮する杜若がどんなチームになっていくのか。ぜひ注目してもらいたい。(取材・文・写真:西尾典文)
田中祐貴
1979年生まれ。愛知県豊田市出身。杜若高校では2年からエースとして活躍し、2年夏には愛知大会ベスト4、3年夏には愛知大会でベスト8に進出。1997年のドラフト5位で近鉄に入団し、オリックス、ヤクルトでプレーし一軍で通算28勝をマークした。引退後は野球塾での指導などを経て帝京大可児(岐阜)でもコーチを経験。2022年4月から杜若高校の監督に就任した。関連記事
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