学校・チーム

【慶応】森林貴彦監督|大事なのは「日々の活動」を通じて何を学び、どう成長できたか

2026.4.20

推薦入試、一般入試、内部進学と異なるバックグラウンドを持つ選手が集まり、部員数も多い慶応高校野球部。ここまではそんなチームが目指すもの、重要にしているものを森林貴彦監督に話を聞いたが、後編ではもう少し広い視点で高校野球のあり方などについても話を聞いた。


甲子園よりも日々の活動の方が圧倒的に長い

*前編はこちら→

――『エンジョイ・ベースボール』以外にも自主性の部分もかなりクローズアップされましたが、そのあたりの取り組みについても教えてください。

みんな野球が好きで上手くなりたくて野球部に入ってきているわけですから、その好きな野球は誰かに強制されなくても追求するはずです。ただ多くのチームが監督の指導、コーチの指導、あるいはチームのルール、規律みたいなものに縛られて「自分がどんな選手になりたいのか?」、「どう上手くなりたいか?」などがないがしろになっているように感じます。
自分で追求して、自分で考えるという習慣作りは今後の人生にとっても身につけておいて間違いないものだと思っていますので、そういう部分は身につけられる場でありたいなと考えています。

――森林監督はそもそもなぜ高校野球の指導者を目指そうと思ったのですか?

大学生の時に後輩たちに学生コーチという立場でかかわって、最後は佐藤友亮(元・西武)が2年生の時だったのですが、夏の神奈川大会の決勝で日大藤沢に負けて、あと一歩で甲子園を逃しました。その4年間が僕にとっては非常に濃密だったというのがまず大きいです。目標を掲げてチーム、組織としてそれに向かい、力を高めながら結果を求めていって、上手くいかなくてもそこからまた立ち上がってというプロセスは人を育てるという意味でも素晴らしいなと思いますし、そういうところに関わりたいという思いを持つようになりました。



――実際、指導者になられてかなりの年数も経っていますが、逆に高校野球のこういうところがもっと変われば良いと思うところはどのあたりですか?

髪型の話もしましたが、前例を踏襲して思考停止になっている部分は今でも多いと思います。注目度も高くて、歴史もあるから「高校野球はこうあるべき」みたいなイメージを勝手に大人が作って、それとは異なるものは認めないみたいなことは感じますね。

もっとこうなっていってほしいという点では、やっぱり主役は選手なので、もっとそこは考えていきたいです。今は甲子園という舞台があって、毎年配役が変わって色んな選手が出てきますけど、主役というよりもエンターテインメントとして消費されているだけというのはあると思います。学校のため、監督のために選手が消費されて、将来のことには大人が責任をとらない。

もちろん甲子園は素晴らしい舞台で歴史もありますけど、そこに立てるのはほんの一握りです。日々の活動の方が圧倒的に長いわけですし、その活動を通じて何を学んでどう成長できたのか? そっちの方が重要なはずです。日々の練習、練習試合、色んな運営など、プレー以外も含めて高校生が成長する場にできるかどうか、そういったことをもっと議論していきたいですよね。
 
2023年夏の甲子園で森林監督に取材をした際には、「せっかく全国から素晴らしいチームが集まっているのだから、一回負けたら終わりではなく、負けたチーム同士が球場を借りて裏トーナメントや裏リーグ戦をやるなど、もっと交流の場があっても良いと思います」と話していた。実際、慶応高校は全国の有志によって行っているリーグ戦の『LIGA Agresiva』にも参加し、選手が試合を運営することによって学ぶことも多いという。方法はその高校の事情や環境によって異なるのは致し方ないことだが、慶応高校の取り組みを一つの参考にして、選手が主役で成長できる高校野球になっていくことを望みたい。

(取材・西尾典文/写真・編集部)


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