今年、創部初の春夏連続甲子園出場を果たした津田学園。どのような練習、どのようなチームマネジメントを経て、春夏の甲子園切符を掴んだのだろうか? 校舎から徒歩10分の場所にある、グラウンドを訪ねてみた。
選手らには「お父さんのよう」と慕われている佐川竜朗監督は、グラウンドでは滅多に声を挙げない。基本的には選手たちの思うようにやらせて、何かがあればアドバイスを交えた指導をする程度だ。
「選手らには野球を好きでいてほしいんです。練習は厳しくても野球は楽しくプレーして欲しいと思っています」。
佐川監督はPL学園、明大、そして社会人では日本通運とアマチュア野球界の“最高峰”でプレーしてきた。上下関係や寮生活など当時から見ても実に厳しい環境の下に身を置いてきたが、だからこそ痛感した指導方法を敷いている。
「PLでは普段の練習は夕方3時半くらいから全体練習して、6時半くらいには終わっていたんです。土日もだいたいの学校は練習試合をやっていると思いますが、PLではそれほどやっていなくて、日曜日は朝の9時くらいから練習が始まって、お昼くらいには練習は終了。そこから仮眠を取って、夕方からぞろぞろグラウンドに出てきて、それぞれで練習をやっていました。ここでもそういう“自主性”に任せていて、こちらからあれこれは言いません。試合では、場面によってはもっと“こうやれ、ああやれ”って言いたくなることはすごくありますよ。でも、それをやってしまうと生徒が“指示待ち人間”になってしまう。自分たちで考えながら何でもできる集団になって欲しいんです」。
PL学園では自分で考えながら動いていた選手こそがレギュラーを掴み、大舞台で活躍していた。一見、PLはエリート集団=勝つ集団と見なされがちだが、そういった独り立ちした心を持つ者こそが第一線でも躍動している。実際にプロの世界でもPL学園OBの選手はこれ以上ない輝きを放っていた。
ただ、津田学園ではPLほどのエリート選手が集っている訳ではない。そんな中でも全員で考え、全員で目の前のテーマに全力で取り組む。チームの和も大事にしてきたお陰で、ここ7年は辞めた選手は1人もいない。
現チームは秋の県大会の準々決勝で敗退。だが「負けてから伸びてきた選手が多いので、これからが楽しみ」と指揮官は大きな可能性に期待を寄せている。練習ではグラウンドの傍らから、選手たちの動きを見つめ、背中を押し続けている佐川監督。そんな指揮官の“熱”に選手たちはどう応えてくれるのか。まずは迎える秋、そして冬の時間をじっくり使い、チームは春の“開花”を目指す。(取材・写真:沢井史)
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