2年連続日本一を狙うソフトバンクで、中継ぎとして勝利の方程式を担っている武田投手。活躍の要因は8年のプロ生活で培った、体調管理に関する経験と知識です。連載2回目の今回は「もう失敗したくない」キミへ、夏のコンディショニング法を紹介します。
本番でチカラを発揮するために必要なこと
夏に絶対NGなのは、冷たい水を飲んだり、アイスを食べること
夏の大会も佳境に入り、甲子園を目指す選手たちの戦いもクライマックスに近づいてきました。まさに今、戦いの中にいる選手もいれば、負けて新チームがスタートしている選手もいるはず。1、2年生にとっては自分に出番が回ってきて「ヨシ、次は俺が!」と秋のメンバー入りに燃えているところですよね。戦いはすでに始まっています。勝ち進んでいる選手も、新チームが始まっている選手も夏への準備をしっかり行って、自分のベストパフォーマンスにつなげてください。今日は「夏場の乗り越え方」についてお話します。
僕が高校生に伝えたいことは3つです。1つ目は水をがぶがぶ飲まないこと。むやみやたらに冷たい水を飲むことはおなかの調子を崩し、夏バテを引き起こす原因に。おなかの調子が悪いと食事の量はガクンと減り、身体づくりに影響します。僕が高校生のときに失敗したのは、冷たいアイスを食べすぎたことでした。暑いとつい手が出てしまいますが、身体を冷やすと胃腸に負担がかかり疲労回復の妨げになることもあるので気をつけましょう。
2つ目は、BCAAを積極的にとることです。BCAAってなんだ?と思う人がいるかもしれませんが「必須アミノ酸のひとつで筋肉を作るために必要なもの」と言ったらわかりやすいでしょうか。必須アミノ酸というのは体内では作れず、食べ物(マグロ、カツオ、鶏肉などに多く含まれています)やサプリメントからしかとれません。食事だけでは足りないので僕はサプリメントで補っています。また、夏場はドリンクの中に同じく必須アミノ酸のひとつであるEAAを混ぜて飲んでいます。ただ水を飲むだけだと汗と一緒に体内からミネラルが排出されるので、水分補給はBCAAやEAAの含んだドリンクもしくはサプリメントを一緒に摂取するのがおすすめですね。
3つ目は睡眠時間の確保です。前回の記事で「生活リズムを一定にすること」とアドバイスしましたが、夏は特に睡眠が大事です。疲労を回復させるためにも高校生なら8時間以上は寝て欲しいですね。食事と睡眠は基本的なことですが、夏は特に意識するようにしてください。
練習1時間前と30分後に補食をとることが大事
プロテインと食事をどう工夫したらいいか? これも身体づくりの悩みですよね。サプリメントもいいですが、高校生は食事で栄養をとるのが1番だと思います。高校野球は練習がハードなので、練習1時間前と終了30分以内の補食を心がけて下さい。プロテインもいいですが、やはりおにぎりがおすすめです。高校時代、僕は体重がなかなか増えずに悩みました。でも高校時代に正しい食習慣を身につけることは生きるうえで大事なことなので、結果が出なくても続けていきましょう。ここでさらに、僕が夏バテ予防で食べているものを教えます。オクラ、納豆、長芋などの「ネバネバ系」です。これらの食べ物には胃腸の働きを保護する「ムチン」という栄養素が含まれています。お腹の環境も良くなるし、タンパク質の吸収も高まるので夏は特に食べてほしい食材ですね。
最後に。高校生の皆さんの身体づくりは、プロテインやサプリメントを買うことも補食や食事で栄養をしっかりとることもすべて家族の協力が必要です。感謝を心で思うだけでなく、口に出して伝えることもしていきましょう。自分に合ったコンディショニング法を見つけ、皆さんの身体が一回り大きくなっているように応援しています!
BCAAやEAAって知ってる?
サプリメントやドリンクに混ぜて飲もう
武田翔太投手が実践する夏対策 3カ条
1.冷たい水のガブ飲みNG
夏の水分補給はもちろん大事ですが、冷たい水を飲みすぎると内臓に負担がかかるので注意してください。胃腸が弱ると食事がとれなくなり身体づくりにも影響します。アイスの食べ過ぎにも気を付けて下さい。
2.BCAAを積極的にとる
必須アミノ酸のBCAAを食事やサプリメントからとりましょう。筋肉への吸収がいいので夏場はドリンクに混ぜて飲むのがベストです。汗をかくとミネラルが不足します。水やお茶ではなくスポーツ系飲料を選びましょう。
3.睡眠時間は7時間以上を厳守
睡眠が1番の疲労回復法です。夏は最低でも7時間、できれば8時間は寝るようにしてください。睡眠不足は熱中症や足のつりといった試合中のアクシデントの原因になります。夜ふかしせずに、スマホも早めにオフにしましょう。
武田翔太 Shota Takeda
1993年4月3日生まれ。宮崎県出身。186㎝、89㎏。右投右打。軟式・住吉中時代に最速142キロでKボール宮崎選抜に選出。宮崎日大では1年からエースで活躍。11年ドラフト1位でソフトバンク入団。背番号18。
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