カラダづくり

勝利を呼び込むカラダマネジメント|テーパリング(2)

2019.7.18

テーパリングには複数のアプローチが存在し、その中に「超回復理論」が含まれ、他にも「フィットネス-疲労理論」が存在する(“フィットネス”とは、身体を動かした後に向上する体力のこと)。
「超回復理論」と「フィットネス-疲労理論」、どちらを参考にするかでコンディション調整法に大きな違いが出るのだ。


"調整の失敗”はだいたいこのパターン
「超回復理論」より「フィットネス-疲労理論」


Q1:「超回復」って、聞いたことある!でもどんな理論なの?

A:「超回復理論」とはトレーニングするとなぜ体力がアップするのかを説明した理論のこと。トレーニング後、疲労や筋ダメージによってコンディションが一時的に落ちる。時間が経つにつれてコンディションは徐々に回復し、もっと時間が経つとより高いレベルに到達し、超回復の時間を経てさらに時間が経過するとレベルが下がっていく。それを図2の超回復のときに次のトレー ニングを行い、繰り返すことでどんどんコンディションがアップするという理論だ。
試合前には、負荷の高いトレーニングと思いきった休養を組み合わせると、より高い超回復を得られるというのが「超回復理論」に基づいたテーパリングのアプローチだ。



Q:では、試合前には「調回復理論」を実践するといいんだね!

A:答えはNO。超回復理論より「フィットネスー疲労理論」のほうがテーパリングのメカニズムをうまく説明できる。「フィットネスー疲労理論」は、トレーニングすると「フィットネス(≒体力)」が向上する一方で「疲労」が蓄積。両者を差し引いた値の合計がコンディションを決定する(図3)。トレーニングをしてもフィットネスは少しずつしか増えないが、 効果は持続しやすい。一方で、疲労は一回の練習でたくさん溜まるが、時間とともに一気に解消されるのが特徴。
超回復理論にもとづき試合前のトレーニングでハードに追い込むと当日まで疲労が抜けきらず失敗する可能性が高い。一方、「フィットネスー疲労理論」にもとづき練習・トレーニングの負荷を徐々に減らせば、フィットネスを維持しつつ疲労を抜くことができるので、試合での失敗が少なくなる。




試合前は徐々に練習・トレーニングの負荷を減らす「フィットネス—疲労理論」に基づいた調整がベターなんだね。試合当日までに疲労を減らした方が高いパフォーマンスが発揮できるのか!

解説=河森直紀(Naoki Kawamori)
大学卒業後、海外の大学院へ留学。博士号を持つストレングス&コンディショニングコーチとして活躍中。最新著書に『ピーキングのためのテーパリング』(NAP)がある。


TOPICS

テーパリングは開始前の練習量も大事なのだ!
テーパリング中のフィットネスは 少しずつ低下していく可能性があるため、テーパリング開始前にフィットネスを高めておくことが大切。とはいえハードな練習を取り入れるのではなく、フィットネスの強化期間として、通常レベルの練習やトレーニングを数カ月にわたって継続することがポイントです。


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