カラダづくり

市立川越高校が実践!最新コンディショニング術

2019.4.16

強豪ひしめく埼玉にあって2014年夏には準優勝、2017年秋には関東大会出場と、公立校ながら見事な成績をおさめている市立川越。いずれも甲子園出場には届かなかったが、そのあと一歩を埋めるために力を入れている最新のコンディショニング術を取材した。


練習中にはおにぎりで補食。
父母会では栄養講習を行うなどチーム全体で身体づくりに注力

市立川越が身体をつくるコンディショニングに本腰を入れて取り組み始めたのは2006年。トレーナーの須田和人さんにトレーニングに加えて『勝てる身体』をつくるための指導を依頼している。成果が見え始めたのは2008年。後に駒沢大学、日本通運でも活躍した井口拓皓(いぐちたくあき)投手を擁して春の県大会で優勝し、関東大会でもベスト8に進出を果たしたとき。井口投手の成長で新井監督も大きな手応えをつかんだようだ。

「井口は入ってきたころからいいものを持っていたがとにかく細かった。それが3年の春までに体重が10㎏以上増え、体脂肪率は約5%下がったら、一気に投げるボールも良くなりました。うちの選手は普通に受験して入ってくるので、入部時は中学の現役時代と比べて身体がゆるんでいることが多い。だから5月の中間試験までは練習も1時間程度のトレーニングを行い無理させません。その後しっかり身体を大きくしていって、3年生で勝負できるように指導しています」と新井監督は話す。



公立高校であり全員が自宅から通っているため、身体づくりに保護者の協力は必要不可欠。月に一度実施している父母会では須田トレーナーや栄養士が講習会を実施し、選手が持参しているお弁当の量や栄養バランスについて指導している。また新入部員とその保護者を対象とした講習会も毎年5月に開催している。日々の練習では部員が米を持参し、マネージャーがにぎったおにぎりを練習中に補食。トレーニング後はすぐに摂取しているプロテインだ。なかでもレモン味やカシス味など複数の味のなから選べて、シェイカーなどを使わず直接飲めるタイプが選手の間では評判だ。あくまでも食事がメインでプロテインは補助という考え方がチーム内に浸透しているため、しっかり食べて身体を大きくしたい選手にとっては摂取量やカロリーが少ないタイプが特に好まれている。

決勝戦での逆転負けがきっかけ。
夏の暑さに負けないコンディショニングを常に意識

2005年からチームの監督をつとめる新井清司監督
アミノ酸に効果があるサプリメントをコンディショニングに取り入れるようになったのは冒頭でも紹介した須田トレーナーの紹介だ。当初は選手各自に任せられていたが、本格的にチーム全体で導入することになったのは2014年夏の埼玉大会決勝で敗れたことがきっかけだと新井監督は話す。

「終盤までリードしていたのに8回裏に大量失点して負けた。技術的には負けていなかったのに最後まで粘れなかったんです。それでチーム全体で取り組もうということになりました」。

大会中は熱中症予防に塩分や経口補水液などを取り入れていたが、それだけではリカバー効果がのぞめないという判断になり、練習後にメンバー全員がアミノ酸に効果があるサプリメントを摂取。試合前にはパフォーマンスアップ効果をねらってゼリー系のドリンクでアミノ酸を補給。水分補給にはアミノ酸入り飲料をチョイスし、練習中も選手がこまめに飲むことで、翌日に疲労を残さず、万全の体調で試合や練習に臨めるようになってきた。



前述した通り、部員全員が自宅生なので、家庭で行うコンディショニングの管理は難しいのだが、チーム全体で約5年間継続できている理由を新井監督はこう分析する。

「コンディショニングを整えるのに有効的なアミノ酸のサプリメントはサッと飲むのにぴったりな形状で携帯もしやすいタイプ。飲むのが苦にならない飲みやすい味などが、毎日飲み続けられる理由だと思います」。

2014年夏に続いて2017年秋にも県大会準優勝と、安定した成績を残し続けている市立川越。その背景にはアミノ酸で体調を万 全に整え、プロテインを摂取するというコンディショニング術が影響していることは間違いないだろう。(取材・文:西尾典文/写真:廣瀬久哉)

市立川越高校

●監督/新井清司
●部長/藤井喜英
●コーチ/疋田直人 清水洋伸
●部員数/3年生31人、2年生20人、マネージャー5人
1926年創部。2014年に夏の選手権大会で準優勝、2017年に秋季関東大会出場するなど、限られた時間のなかで練習しなければならない公立校でありながら、近年は目覚ましい成長を遂げている。


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