カラダづくり

【鳴門】再び甲子園常連校に!チーム一丸の取り組みとは

2018.10.26

OBの細やかな指導と親子で取り組んだ食トレ。

普段は個々の教室で昼食をとっているが、この日は全員が集合してランチタイム。学年の垣根を越えて会話が弾んでおり、チームの結束力が覗えた。また、それぞれの弁当では鳴門金時やレンコン、魚介類など地産の食材を使ったおかずも目立っていた。

森脇監督は昭和60年から平成7年に監督を務め、一旦は他校に赴任するも平成19年から鳴門高校の監督に復帰した。2度目の監督就任以降の12年間で9回の甲子園出場を果たしている。古豪を再び甲子園常連校に導くために、就任以来新しい取り組みも積極的に行った。

その一つが、元プロ野球選手を含む同校OB4名の外部コーチを招聘したこと。打撃、守備・走塁、バッテリーなど個々に担当を持って指導してもらい、選手のスキルアップを行った。
もう一つ、平成29年秋から取り組んだのが食トレだ。きっかけは平成29年10月の第70回秋季四国地区高校野球大会で、徳島県の第一シード校でありながら、香川県の高松商業高校に5対9で逆転負けを喫したこと。後半に粘り切ることができない選手たちを見て「何かが足りない」と考えた森脇監督は、以前から導入を検討していた食トレを行うことを決意した。「食トレのためには保護者の協力が必要不可欠。幸いなことに、皆さんが賛成してくださり、本格的に食トレに取り組むことができました」。

血肉にしようと手弁当をしっかりとかみしめる選手たち
実際に食トレを導入後、フィジカルだけではなく、メンタル面でも顕著な変化が現れたという。お弁当を含めた3食、身体づくりのために必要な食事を用意してくれる保護者の姿を見て、それまで好き嫌いがあった部員も、残さず食事をとるようになったというのだ。またお菓子やジャンクフード、炭酸飲料などを口にすることが一切なくなり、小魚やナッツ類、100%果汁ジュースをおやつとしてとるようになった。
「親への感謝で自覚がついたことは間違いありません」と森脇監督。食欲がないとき、無理をしてでも食べたり、逆に食べたいものを我慢したりの経験が、精神面での成長に結びついた。「(食トレで)これだけ頑張っているのだから、ちょっとやそっとのことではへこたれないぞ」というような気概が部内に満ちてきた。

その結果、第100回全国高校野球選手権徳島大会においては、初戦の城南高校戦では13対9で敗色濃厚だった8回裏に4点を取って同点に追いつき、最終回に1点を加えてサヨナラ勝ち。準決勝の富岡西高校戦では、10対6で迎えた9回裏、一挙5点を取り大逆転サヨナラ勝ちする。課題であった終盤の粘りで、決勝も制して、徳島県代表として夏の甲子園への切符を手に入れることができた。

シャドーピッチングに汗を流す3年生ピッチャーの二人。甲子園での登板は叶わなかったが、地区大会では中継ぎや抑えとして活躍した。

力強い素振り。基礎練習を大切にするのも監督の方針。

食トレの効果は思わぬところにも出た。食トレ導入後、風邪やインフルエンザで休む部員はゼロ、徳島大会から甲子園まで、熱中症の症状を見せる選手も一人もいなかったという。

森脇監督は、高校卒業後法政大学へと進学したが、選手ではなく、チームマネージャーとして野球部に所属していた。裏方としてチームを支えた経験が、現在の柔軟なチームマネージメントに役立っている。もう一つ大きなのは人脈。実は食トレについても、他校の監督から情報を得て導入に踏み切ったという経緯がある。「培った人脈のお陰で、最新の情報を得ることができています」。


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