学校・チーム

【掛川西】「全員本気・全員野球」勇気を持って戦う姿勢が大切 

2018.9.10

昨年発売した『甲子園を目指せ!進学校野球部の勝利への方程式』に続き、今年も『甲子園を目指せ! 進学校野球部の奮闘の軌跡』が辰巳出版より発売!
取材した高校の中から、掛川西高校野球部(静岡)の本書掲載内容の一部を紹介します。


「甲子園を目指せ! 進学校野球部の奮闘の軌跡」静岡県立掛川西高校 編



すべては1本の道につながっているーー
野球と勉強、どちらも絶対にあきらめない! (本書より)


「甲子園タイム」と称して強豪校の実力を数字で可視化。緻密な数値化で結果につなげ、100%出し切った夏。

「文武共に伸びる子の特徴」より

掛川西野球部は、夕方まで他部活動の生徒と共に授業を受けている。私立高校のように野球部だけ先に部活動が始まることもなく、また野球部のみのクラスも存在しない。公立高校では当たり前だが、授業中に寝れば起こされるし怒られる。放課後16時頃から部活動が始まり、19時半から20時頃に全体練習が終了。21時まで自主練習をして帰宅する。
公立高校の中では、部活動の練習時間は比較的長い方であり、それだけ文武両道も難しい。勉強時間の確保が難しい中で、いかに選手たちは両立し、野球部の指導陣はどのように指導しているのだろうか。

「掛川西は進学校という言葉のイメージとは少し違うかもしれません。野球部の生徒たちは、勉強したくてというよりは野球が好きで掛西へ入学してきます」
大石卓哉監督はそう前置きし、勉強面に対しては特別な指導をしていることはないと答えた。特別な指導をする必要がない、という方が適しているかもしれない。各々選手は学校の授業や自身の経験をもとに大学卒業後の夢を描いており、夢の実現のためにそれぞれが両立できるように頑張っていた。

副主将の武井皓路(3年)は、話しながら目を細め気恥ずかしそうに笑う穏やかな外野手。埼玉西武ライオンズのファンで、幼い頃からプロ野球を見るのが好きだったそうだ。小学2年生の春、甲子園球場で選抜に出場していた掛川西の試合を観戦。一気に掛川西野球部へ憧れを抱くようになり、受験合格のため一生懸命勉強をした。
自宅は御前崎市にあるため、毎日30分かけて自宅最寄りの菊川駅まで両親に送迎してもらっている。母や兄姉、同野球部OBの父のサポートは欠かせない。帰宅後、疲れきっていることが多く、0時半頃に就寝する。自宅での勉強時間の確保が難しいからこそ、毎日の授業に集中している。
「授業で全部覚えられるように聞いています。分からないことは休み時間に自分で考えます」
得意科目は生物と化学。同じく理系の姉が、バイオテクノロジーの研究をしていることもあり高校卒業後は同様の分野を研究することに関心がある。関東圏内の高い偏差値の大学を希望進路として挙げた。勉強には絶対に手を抜けないが、夏が終わるまでは野球も絶対に手を抜かない。「(塾に行く必要があるかどうかは)引退してから考えます。今は野球」と目を細めた。

相田賢真(3年)も同じく、会話中によく笑顔になる人懐っこい内野手。中学の成績はオール5だった。こちらも秀才である。
中学の頃は毎日同じ場所、同じ時間に勉強を繰り返した。ルーティン化する性格は今も変わっておらず、毎朝6時から30分間自宅でバットを振ってから学校へ通っている。勉強においては、短時間で集中し復習を重視しつつ勉強している。
「勉強しなくてはいけないという意識はありません。勉強も野球と同じで、できるから楽しい、楽しいからできる、のループです」と自身の文武共に伸びる秘訣を説明した。
得意分野は世界史と英語。世界を相手に活躍する国際人になることを目標としており、希望進路は関東圏内の難関国立大学を挙げた。大学の授業だけではなく国際人になるため、東京オリンピックで通訳ボランティアとして活躍したいと考えている。そのため関東圏内の大学しか視野に入れていない。
「レギュラー入り、甲子園出場、国立大学合格、この3つを担任の先生と約束して目指しています」と話す相田もまた、野球も勉強も妥協は自分自身が許さない。
(文&写真:喜岡桜)

続きは本書よりお読みください


【掲載高校】

◎県立仙台第二高校(宮城県)
「文武一道」。道は一つ。目の前の課題に全力で立ち向かう
一人一役。守備リーダー、走塁リーダーなど専門性を持って各自がチームに貢献。人間力の強化に取り組む。

◎市立金沢高校(神奈川県)
「こうなりたい」「こうしたい」意志の積み重ねが結果に繋がる
的確な指摘をすれば問題点を修正できる高い能力がある選手たち。練習に明確な意志を持たせ、今夏県のベスト8に。

◎県立掛川西高校(静岡県)
「全員本気・全員野球」勇気を持って戦う姿勢が大切
「甲子園タイム」と称して強豪校の実力を数字で可視化。緻密な数値化で結果につなげ、100%出し切った夏。

◎県立膳所高校(滋賀)
「データ野球」を武器に斬新なシフト、頭を使う野球で勝負
毎年入部した選手の良いところを掛け合わせてのチーム作り。専門データ班の分析データを活用して戦う。

◎県立松山東高校(愛媛県)
「誰かのためにやりきる」1球に熱中できるチーム作り
「勝利」を意識して、みんなで掴む野球ができた。監督就任3カ月で感じた手応え。

◎県立東筑高校(福岡県)
考えさせる大人の野球を実践。日本一短い練習で、日本一強いチームに
怒鳴らない、強制しない、決めつけない。将来を見据えた指導で選手を伸ばす。「生徒は勉強を一番に頑張って欲しい」の真意とは?


関連記事



PICK UP!

新着情報