カラダづくり

クエン酸と上手につきあおう

2015.7.17
 身体が疲れてくると何となく「酸っぱいもの」がほしくなることはありませんか。レモンのハチミツづけや梅干しなどをベンチ裏に常備して、試合中に摂取できるよう準備するチームもあると思います。レモンやオレンジ、グレープフルーツなどのかんきつ類、梅干しやお酢などに含まれているこの「酸っぱい成分」はクエン酸によるものです。

 クエン酸と言えば、皆さんは理科の授業で「クエン酸回路」という言葉を聞いたことがあると思います。人間の体内にあって、エネルギーを産生する機能の一つであり、食べものなどで得られた糖質や脂肪をエネルギーに変える働きをしています。そして「クエン酸回路」という名前からもわかるように、このエネルギー産生システムにおいてはクエン酸と、クエン酸が変化して出来る物質が重要な役割を果たしています。

 こうしたことから「酸っぱいもの(=クエン酸)を食べると疲労回復につながる」と言われてきましたが、これは「疲労物質=乳酸」という認識が強かった時代の話であり、現在ではクエン酸摂取による直接的な疲労回復効果は、専門家の間でも意見が分かれています。ただし疲労回復に必要不可欠なビタミンB群は、クエン酸と一緒に摂取することで吸収率がアップすると言われていますので、食事のときに意識してとると疲労回復効果が見込めるでしょう。

 クエン酸にはこのほかにもさまざまな効果が期待されています。その一つが夏ばてなどを防ぐ食欲増進の効果です。食欲不振におちいる原因として胃腸の働きが落ちていることが考えられますが、体内にクエン酸を取り入れることで唾液や胃液の分泌を促し、胃腸を活発に動かして食欲増進につなげます。食事の時にたとえばグレープフルーツジュースを準備しておくと、食欲不振を吹っ飛ばし、たくさん食べることができそうですね。さらにクエン酸は体に必要なミネラルと結合して吸収をよくする働きもあり、体が酸化するのを防ぐ効果(キレート効果)もあると言われています。

 こうしたことから選手の皆さんが、クエン酸効果を期待して「酸っぱいもの」をとるのであれば、クエン酸を単品でとるのではなく、ビタミンやミネラル、糖質などと一緒にとるようにするとよいでしょう。毎日の食事で、主菜、副菜、飲み物、果物とさまざまなアレンジが可能です。ぜひ上手に取り入れてみてくださいね。

食事にクエン酸を含む食材をプラス。フルーツを上手にとろう



  


PICK UP!

新着情報