「苦しいときを乗り越えてこそ、勝てる喜びは大きくなる」
2017年は開幕から一軍ローテーション入りし、自身初の規定投球回にも到達。エース級の活躍を見せた秋山拓巳投手。プロ8年目で大ブレイクを果たした秋山投手が積み重ねてきたトレーニング、食事、メンテナンス法を教えてもらいました。
野球が好き。だから折れない。
去年、(チームトップの)12勝を挙げることができたのは、ストレートがよくなって自分に自信が持てたことが大きいと思います。気持ちを強く持つには、明確な目標を立てて取り組むのが大切。高校時代の僕には甲子園出場、そしてプロになるという目標がありました。
つらい練習や試合で負けたときなど、苦しいと感じることもありましたが、それを乗り越えて結果を出せたときの喜びは一層強くなる。球児の皆さんにも、つらいときこそ未来の自分を想像して、夢を叶えるために頑張ってほしいですね。僕は甲子園には3年の春夏に2回出場し、プロにもなれましたが、プロ入り後は結果が出ない時期が長かった。それでも野球は好きでやっているので、心が折れたことはありません。
基礎的なトレーニングはいつか必ず力になる
高校時代は、「投げる」「打つ」「走る」といった基本的な練習を繰り返していました。プロ1年目の後半には、一軍で数試合投げることができたのですが、オフのトレーニング不足で肩の調子が悪化。ピッチャーは肩・ひじが大切で、その経験からインナーマッスルの重要性を痛感しました。それ以降は、重りを持ってのスクワットやベンチプレスで肩を意識的に鍛えていて、特に大きな故障はありません。ダンベルやチューブを使ったトレーニングなら自宅でも行えるので、高校時代にもやっておけばよかったと思います。
逆にやっておいてよかったのは走り込み。高いレベルで一年間プレーしなければならないプロの世界では、走って作る貯金が大事。足腰が強くなったのはもちろん、しっかり走れる体力を高校時代に養えたと感じます。
ゆるやかな自己管理で自分の身体に責任を持つ
マッサージで身体をほぐしてもらうこともありますが、人に頼ってばかりだと自分の状態を感じ取れないので、朝晩ストレッチをしながら日々のチェックを怠らないようにしています。毎日お風呂に浸かり、睡眠は7〜8時間。生活が乱れるとすぐに体調に悪影響が出るタイプなので、規則正しい生活を送ってコンディションを保っています。 子どもの頃から好き嫌いはなく、肉、魚、野菜、乳製品と何でも食べ、自然とバランスの良い食事をとってきました。おかげで身体は順調に成長。お菓子に興味がなく、高校時代はおやつが白飯でした。ご飯が好きで、太りやすい体質のため、キャベツなどの野菜を多めに食べるように心掛けていました。
さらに飛躍するために欠かせないこと
プロ入り後、多くの先輩たちが飲んでいるのを見て、僕もサプリメントを摂るようになりました。チームメイトやトレーナーの方たちにどんな成分がいいかを教えてもらい、自分に必要なものを厳選しています。なかでも血流を良くするアルギニン、筋肉の状態を良好に保つBCAAやグルタミンを含むアミノ酸は、毎日こまめに摂っています。一番期待しているのは疲労回復効果ですが、アミノ酸を摂るようになってからは大きなケガはなく、体重の大幅な増減もないですし、いい状態をずっとキープできていると思います。
去年ずっと一軍で投げてみて、自分の中にまだまだ伸びしろがあるなぁと感じました。また、シーズン中にいろいろなピッチャーを見て、さらにやる気が沸きましたね。オフの間は、新しいことにもどんどんチャレンジして、もっと進化していきたいです。
「だから秋山投手は覚醒した!」権田康徳(阪神タイガーストレーナー)
2017年は僕たちトレーナーと決めたルーティンを、ほぼ変えることなくシーズンを通して行えたことが、安定した成績を残せた理由のひとつだと思います。秋山投手にとってベストなコンディショニングの形ができてきたことで、自信と確信が生まれましたね。
秋山拓巳's|コンディショニングMEMO
1.インナーマッスルを鍛えてケガを予防。
2.規則正しい生活を送り、リズムを崩さない。
3.身体ケアのためのアミノ酸摂取をルーティンに。
取材・文=江原裕子 写真=淵江亮一
秋山拓巳(Takumi Akiyama)
1991年4月26日生まれ。香川県丸亀市出身。西条高1年秋よりレギュラーを獲得、3年春夏にはエースで四番として甲子園連続出場を果たす。2009年ドラフト4位で阪神タイガースに入団。2017年は開幕から先発ローテーション入りし、チーム最多の12勝をマーク。規定投球回に到達した投手としては12球団最少の与四球数を記録するなど、高い制球力に定評がある。
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