沖縄尚学3年春のセンバツでエースとして同校を優勝に導き、大学でも数々の記録を残してナンバーワン投手と称された東浜巨投手。プロ4年目の昨シーズン序盤から一軍に定着し、飛躍を続けるいま、好調の要因につながる取り組みについて、じっくり話を聞きました。
「レベルの高いチームの中で結果を残すために、トレーニングから栄養補給まで細かく意識しています」
納得できるトレーニングが戦い抜く自信につながる
高校や大学では腕立て伏せや懸垂などの自体重を使ったトレーニングやランニングが中心でしたが、プロになってウエイトを使ったトレーニングの重要性に気づきました。入団した頃はパワー不足で、それを補うトレーニングや1年間試合ができる筋肉づくりが必須。シーズンオフはボールをほとんど握らず、身体を大きくすることに重点を置きました。
これから夏に向けて、高校球児にとっては大事な時期。夏場は何をどう頑張ってもしんどいですが、春の大会が終わったらすぐにトレーニングを始めて、自分を追い込んで、基礎体力を上げること。「誰よりもやった」という自信が持てるような練習を積めば、夏は乗り切れると思います。僕は甲子園で優勝して人生が変わりました。それがなかったらプロにもなっていないと思いますし、夏前の大切さを実感しています。この時期をどう過ごすかで夏の結果も変わってきますよ。
自分の身体の状態を知って積極的なメンテナンスを
登板に合わせてマッサージを受けていますがそれだけでは限界がある。ストレッチなど自分でできるメンテナンスを積極的にやっています。温水と冷水に交互に浸かることで血行を促し、疲労回復につながる交代浴は、練習場に設備があるので意識的に入るようにしています。疲労が溜まりやすい方ですし、きちんとケアしないとパフォーマンスがどんどん落ちてしまう。睡眠も毎日7〜8時間しっかりとっています。気持ちを切り替えるのにオフにはまず野球のことを考えないですね。最近よく釣りに行っていて、子どもの頃からやっているのですが、心が無になれます。
栄養素とその役割を知ることが効率的な身体作りへの近道
寮を出て一人暮らしなので、食事は家ではなく(ヤフオク)ドームに行ってから取っています。動く前にしっかり食べます。
チームには素晴らしい投手がたくさんいるので、その中で結果を残すために細かいことを意識するようになりました。一軍でプレイするようになった去年からサプリメントを摂り始め、今も続けています。チームメイトやジムのトレーナーにおすすめを聞いて、いろいろ試して、今はプロテインも含めて10種類以上飲んでいます。飲む種類や回数、タイミングは目的によって変えていて、練習前にはコンディショニングのため必須アミノ酸を、その中でも特に筋肉疲労に効果的なBCAAは練習中や動く前に飲んでいます。トレーニング中に飲むといいもの、身体を動かすためのもの、リカバリーのために運動後に摂るものなど、効率良く摂取したいですね。そのおかげか今は身体の状態がすごくいい。試合でも練習でも集中力が切れなくなりましたし、疲れても回復が早くなりました。ただしサプリメントはあくまで補助食品なので、トレーニングやボディメンテナンスも欠かせません。
今期の一番の目標はチームの優勝。僕が先発ローテーションで回った去年、優勝できなかったことが何より悔しいんです。その次に僕個人として2ケタ勝って、チームに貢献できればと思っています。だからシーズンを通して戦える体力が必要ですし、そのために身体を作ってきているつもりなので、どんな結果が残せるか、僕自身も楽しみです。
(取材・文=江原裕子 写真=小沢朋範 写真提供=福岡ソフトバンクホークス)
東浜 巨投手プロフィール
1990年6月20日生まれ。沖縄県出身。沖縄尚学高校3年の2008年センバツでは決勝戦を完封して優勝。亜細亜大学を経て、2012年ドラフト1位でソフトバンクホークスに入団。4年目の昨シーズン序盤で1軍昇格した後は先発ローテーションに加わり、2017年は自身初の開幕ローテーション入りするなど、今後の活躍が期待される注目の投手。