学校・チーム

【報徳学園】大角健二監督|メンバーもメンバー外もどちらにも全力でぶつかる

2024.11.1

興南戦の敗戦をきっかけに変えたこと



20代は若さでとにかく走ってきたという大角監督。コーチ時代はそこまで深く考えることもなかったというが、それまでのやり方に疑問を覚えることもあったという。その一つのきっかけとなったのが2010年に出場した夏の甲子園だ。チームは準決勝まで勝ち上がるが、そこでこの年に春夏連覇を達成する興南に逆転負けを喫する。この時の敗戦が強く印象に残っているという。

「試合が終わった後にベンチの横に並んで興南の選手が引き上げていくのを待っているじゃないですか。その時に相手の体の大きさがうちの選手とは全然違って、ちょっと衝撃を受けました。よくよく考えてみると、入学してきた1年生にはとにかく走らせて体力をつけて、根性もつけるみたいなやり方だったんですね。その間に体重は激減する、怪我もする選手も出てくる。ようやく秋くらいから元気になってみたいな感じでした。自分たちもそうだったので疑問も感じていなかったですけど、2年半しかない高校野球で3年生の時にしっかりピークを持っていくにはこのやり方はおかしいんじゃないかなと。興南に負けてからそういうことを考えるようになりましたね」



2017年に監督に就任すると、新入生へのアプローチも変更。トレーニングなども見直して体作りや筋力アップにもそれまで以上に取り組むようになったという。しかしそちらに目を向けても上手くいかない部分もあったそうだ。

「監督になってしっかりトレーニングもやって、パワーアップしてという取り組みはやりました。ただパワーをつけて打ち勝ちたいという気持ちが出てきた半面、逆にそれまでのチームの強みだった守備とか細かい野球が疎かになった部分があったと思います。今の大学4年生、3年生の代は能力の高い選手も多くて、そういうところができていたらもっと勝たせてあげられたというのはありますね。コロナもあってなかなか練習できなかったというのもありますけど、こちらの意識も低かったですね。だからその一つ下の今の大学2年生の代でもう一度守備と走塁をしっかりやろうと。結果的に甲子園には出られませんでしたが、春は県大会でも優勝して、それで勝ち方みたいなのが少し見えたのはありますね」

昨年と今年の選抜でも長打はそれほど多くなかったが、堅い守備と相手の隙を突く走塁が目立つシーンも多かった。チームの伝統と言える部分に再度注目できたことが、結果に繋がった部分もあったのではないだろうか。

後編では普段の指導で変わった部分や、試合の采配で悔やんでいる話などを紹介する。(取材・西尾典文/写真・編集部)

関連記事

  • 1
  • 2


PICK UP!

新着情報