運と感性はイコールのようなもの

――では、現在の聖光学院、斎藤監督の「試練」とは?
斎藤 甲子園で2つ、3つは勝てるようになってきたけど、まだ優勝候補に挙げられるような存在になっていないことですかね。そこには自分の至らなさ、不足感を抱いています。
――それを打ち破るカギは?
斎藤 今は選手の「心技体」のピラミッドを大きくしたいんですよ。
――ピラミッド?
斎藤 海から見える氷山の一角がありますよね。それがちょうど「体」と「技」。隠れて見えないけど、海に中には「体」と「技」を支える大きな「心」がある。ちょうど「心技体」のピラミッドのようですよね。
今はより大きな「心」を身につけるため、その下に「運」と「感性」があると考えています。つまり5段のピラミッド。ただ、運と感性はイコールのようなものだから4段でもいいかな。
――「運」と「感性」がより大きな「心」につながり、引いては「体」と「技」の大きさにもつながっていく。
斎藤 志村史夫さんという物理学者と親しくさせてもらっているのですが、志村さんは「一流の人に共通しているのは運と感性を身につけていること」とおっしゃるんです。一流と二流は「心技体」はそれほど変わらないが、「運」と「感性」が違う、と。

――先ほど「運」は引き寄せるものという話もありましたが、「感性」も後天的に豊かにできる?
斎藤 ええ。何事も「本物」を見たり、一流の人の話を聞くなど「触れて、体験すること」が感性を磨く、感性が宿ることにつながる。
――では、斎藤監督が今、「触れて、体験したいこと」は何ですか?
斎藤 自然に身を置くのが好きなんですよ。先日、北海道に行った際には釧路湿原やタンチョウ、摩周湖などを見て回りました。今度は知床半島に行ってシマフクロウを見てみたい。地理も好きなので、いずれは日本一周をしたいです。鳥取砂丘、天橋立、佐田岬や能登半島の先・・・・・・行きたい所はたくさんあります。
――選手たちにもそういう機会を設けているのですか?
斎藤 ありますね。先日の東北大会は会場が秋田県だったので、秋田を代表する河川である雄物川の河口に連れて行きました。何を言うわけでもなく、30分くらい水とふれあう。そこで何を感じるかはその人次第。選手には何かを感じ、それを追求・探求して感動する経験をしてほしい。そういった感性は人間を豊かにするし、「人間力」にもつながると思います。(取材・田澤健一郎/写真・編集部)
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