ギア

西武・栗山巧選手が考える、一流のプレーとギアの相関関係

2016.2.1

「当たりさえすれば捕れる」という信頼感
埼玉西武ライオンズの外野手として活躍している栗山巧選手は、プロになって7年目で理想的なグラブにたどり着いた。
入団当時抱えていた守備への不安を払拭してくれたグラブとは、一体どのようなものだろうか?


長年使っているグラブもシブくていい。
しかし、「プロ野球選手は常にキレイな
グラブを使ってていいな」と、憧れを抱
かせるのも仕事のひとつと考えている。
開く、閉じる、ポケットが深い

 入団当初は守備に課題を抱えていたものの、自分が理想とするグラブがどのようなものなのか分からなかったんですよね。使い慣れたグラブのほうが安心するため、当時の背番号である「52」と刺しゅうが入った同じグラブを、約6年間使いながら理想を探していました。その甲斐あって、入団7年目にして「これならいける!」と思えるグラブに行き着いたんです。
 僕が求めていたグラブの条件は、「よく開く、よく閉じる、ポケットが深い」の3つ。これを満たすグラブを使い始めて、守備への不安が少しずつ和らいでいきました。おかげで今は安心して打球判断ができるし、球際まで粘れるようになった。グラブにボールが当たりさえすれば必ず捕れるという自信も持てるようになりました。
 それを象徴するのが、2015年7月24日の日本ハム戦、杉谷選手が放った三塁側のブルペンに入りそうな打球をフェンスによじ登ってキャッチしたプレーですね。ギリギリの打球を捕球できたのは、このグラブに出会えたからだと思っています。





外野手は走りながらキャッチすることが
多真芯でなかなか捕れない。だからこそ
グラブとの信頼関係を築くことが大切。
1年練習で使って手に馴染ませる

 今年のペナントレースで使おうと思っているグラブがこれ(インタビュー中に栗山選手が持っているもの)なんですが、じつは2015年の3月に仕上がってきたグラブなんです。これを、1年ずっと練習で使ってきました。僕は、新品のグラブをすぐに公式戦で使うことはなく、練習で使いながら手に馴染ませるようにしています。なので、あえて硬めを選びます。そうやって、硬い革が手に馴染む頃にはグラブとの信頼関係もできあがってくるんですよね。そろそろいいなと思ったら、仕上げの儀式のように実戦で使ってみます。というのも、毎回、守備につくたびにグラブをパンパン叩く癖があるのですが、それを9イニングやっていると、しっかりと好きなグラブの形になるんですよ。ひと試合終えたときには、
練習用のグラブが公式戦用に昇格するというわけです。





手入れした分、信頼感が深まる

 手入れに関しては、高校球児にはあまり参考にならないかもしれないですね。僕らが使っているグラブはできあがった時点で非常に完成度が高いものなので、よほど汚れが気になるとき以外は、拭くくらいで何もしません。また、本革なので、湿気に弱く、夏場になると若干へたるんですよ。へたりは守備の不安要素につながります。そのために、1年で交換するようにもなりました。ただ、これはプロならではの話ですね。高校時代は僕もそうでしたが、3年間同じグラブを使うことをオススメします。練習後に毎日手入れしながら大切に使うことで、グラブに愛着が湧いてくるじゃないですか。それを続けることで「これだけちゃんと手入れしているんだから、このグラブでミスすることはない」と自信につながったりするんです。しっかり手入れすることでギアとの信頼関係が深まるだけでなく、技術向上にもつながっていくと思うので、グラブ磨きを習慣にしてください。








親指を中に折る。そうするとボールが
うまくキャッチできそうな気がするという。

栗山 巧 Takumi Kuriyama
1983年9月3日生まれ、兵庫県出身。177 cm、85 kg、右投左打の外野手。02年ドラフト4巡目で西武ライオンズ(現 埼玉西武)に入団。08年に最多安打を獲得しリーグ優勝と日本一に貢献、ベストナインにも選出。12年からはキャプテンに就任、これまでにゴールデングラブ賞、ゴールデンスピリット賞等を受賞している。


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