カラダづくり

PFCバランスを考えよう!

2015.12.14
 「PFCバランス」あるいは、「PFC比」という言葉を耳にしたことがあるでしょうか?

PFCは、たんぱく質(Protein)、脂質(Fat)、炭水化物(Carbohydrate)の頭文字を取ったもので、PFC比は食事の全体エネルギー量に対して、これらの3大栄養素がどのくらい占めているかを表す数値です。

厚生労働省が一般人の健康の保持・増進に必要なエネルギー量と各栄養素量を、1日あたりの値として示したものを「食事摂取基準」といいますが、これは栄養素の不足や過剰摂取による健康障害の予防という観点から作成されています。その中にPFC比も示されており、つまり健康の保持・増進を目的に設定された目標値ということです。最新の食事摂取基準(2015年版)では、P比が13~20%、F比が20~30%、C比が50~65%とされています。

一般人と比べてスポーツ選手はどうかという点についてですが、スポーツの種目別に推奨されたPFC比も見かけますが、これらは目安であり、トレーニング内容、身体状況などによっても変わってきます。(ちなみに、フリースペース社発行の『運動生理学の基礎と発展』という本には、野球はPFC比=15:25:60と書かれていました。)
しかしながら、どんな種目、状況であれ、食事摂取基準の枠からはみ出すようなことはなく、基本のラインは同じです。これまで紹介してきた献立も、成長盛りの子どもが対象ということで少したんぱく質に比重を置いたこともありますが、食事摂取基準のPFC比を考慮して作りました。

さて、普段の食事でエネルギー計算をすることはほとんどないと思いますが、参考までにその計算方法について説明しましょう。

食事のエネルギー計算をした上で、たんぱく質、脂質のそれぞれの摂取量(g)を、「エネルギー換算係数」を用いてエネルギー摂取量に換算し、その値から比率を算出します。
「エネルギー換算係数」とは、たんぱく質(と炭水化物)は1gあたりおよそ4kcal、脂質は1gあたりおよそ9kcalに相当するため、たんぱく質の摂取量(g)には4kcal、脂質の摂取量(g)には9kcalを乗じます(掛け算)。その値が、食事の全体エネルギー量の何%にあたるかを計算することで導き出せるのです。

 言葉で説明するよりも実例の方がわかりやすいと思うので、下記の献立で計算してみましょう。


○献立
主食:ご飯(300g)
主菜:豚ロースの塩麹焼き
副菜1:高野豆腐と青梗菜の中華煮
副菜2:白菜のゴマ酢和え
デザート:ヨーグルト(120g)とグレープフルーツ(60g)

○栄養量
エネルギー:1,250kcal、たんぱく質:58.9g、脂質:35.3g、炭水化物:166.7g
(カルシウム:571mg、鉄:5.1mg)

○PFC比
たんぱく質(P)エネルギー比 = 58.9(g)×4(kcal)÷1250(kcal)×100 = 18.8%
脂質(F)エネルギー比 = 35.3(g)×9(kcal)÷1250(kcal)×100 = 25.4%
炭水化物(C)エネルギー比 = 100(%)-(18.8+25.4) = 55.8%

 なんとなく分かっていただけたでしょうか?
 今日の話は少し難しかったですね。ここまでできると貴方も立派な栄養士です!こういうバランスがあるんだな、と頭の片隅に留めておいていただければ十分です。

では、最後に今回の献立のレシピを紹介しておきます。

※作りやすい量で表記したものもありますが、上記の栄養量は一人分で計算しています。


◆◇豚ロースの塩麹焼き◇◆
材料(1人分)
豚ロース肉 140g
塩麹 10g

・付け合わせ
キャベツ 70g
トマト 50g
ドレッシング 適量

作り方
1. 豚ロース肉の両面に塩麹をつけて一晩おく。
2. グリルで10分ほど焼く。
3. 脂身部分を落とし、食べやすい大きさに切る。
4. 付け合わせの野菜と一緒にお皿に盛る。

※ロース肉の脂身部分を取るとエネルギー量が大きく違います。消化時間のかかる脂質は特に夕飯時、控え気味にしましょう。



◆◇高野豆腐と青梗菜の中華煮◇◆
材料(作りやすい量・2人分)
高野豆腐 40g
片栗粉 10g
油 適量
青梗菜 2株
椎茸 3枚
人参 40g
ゴマ油 大さじ1

・合わせ調味料
オイスターソース 大さじ1・1/2
砂糖 大さじ1/2
みりん 大さじ2
酒 大さじ1
鶏がらスープの素 小さじ1
にんにく、生姜のおろし 各1片
水 150cc

作り方
1. 高野豆腐は水で戻しておく。やわらかくなったら、しっかり水気を絞り、片栗粉をまぶす。
2. フライパンに油を熱し、高野豆腐を両面揚げ焼きにする。キッチンペーパーを敷いたお皿に取り出しておく。
3. 青梗菜は根元を落とし、大きいものは半分に切って、小さいものはそのまま使う。
4. 椎茸は石づきを取って薄切り、人参は短冊切りにする。
5. 合わせ調味料を混ぜておく。
6. きれいにしたフライパンにゴマ油を熱し、人参、青梗菜の茎、葉、椎茸の順で炒める。
7. しんなりしてきたら、合わせ調味料を入れてひと煮立ちさせる。
8. 高野豆腐をフライパンに戻し、コーティングした片栗粉でとろみがつくまで煮る。


◆◇白菜のゴマ酢和え◇◆
材料(作りやすい量・3人分)
白菜 2枚(210g)
人参 45g

・合わせ調味料
すりゴマ 大さじ2
酢 大さじ1
塩 小さじ1/2
醤油 小さじ1/2
砂糖 小さじ1

作り方
1. 白菜の芯部分と人参は短冊切りにする。白菜の葉部分は適当な大きさに切る。
2. 合わせ調味料を混ぜておく。
3. 鍋に塩水を沸かし、人参から茹でる。白菜も芯、葉の部分の順に茹でて、ザルに取る。
4. 白菜と人参の水気をしっかり絞り、温かいうちに合わせ調味料と和える。


  


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