企画

社長になった「球児」に会いにいく|米沢谷友広(秋田商業出身)グローバルポーターズ株式会社代表(3)

2020.9.17

高校野球を頑張っている皆さんにもやがて社会に出て働く日が訪れます。まだまだ先のことかもしれません。でも今から「自分は将来どんな仕事をしたいのか?」を考えていると、進むべき道、進路がぼんやりと見えてくると思います。このコーナーでは、かつては高校野球を頑張り、現在は社長として活躍されている”高校野球の先輩”に「仕事」、そして「働く」ということについてお話を伺っています。

今回お話を聞いたのはグローバルポーターズ株式会社代表で、秋田商業で甲子園も経験している米沢谷友広さん。最終回は現在の会社についてのお話し、そして高校生の皆さんへのアドバイス、メッセージなどもいただきました。


【目次】
社長になって知った責任の重さ
欲しいのは「自分にない考え」を持った人材
今も夢に出る、秋田商業の投球練習
高校時代に見つけて欲しい、好きなこと


▼米沢谷さんプロフィール
米沢谷友広(秋田商業出身)。神奈川大学を経てスポーツ小売業大手ゼビオ株式会社に入社。経営企画室でスポーツ事業に関わる広報活動やスポンサード、新規事業開発、M&A等の投資関連業務に従事。プロ野球独立リーグやJリーグ、アイスホッケークラブ等の運営にも関わり、スポーツ小売やスポンサーサイドからみたクラブチーム経営に携わる。その間、カリフォルニア大学にてアントレプレナーシップやビジネスインキュベーション、コーポレートファイナンス単位を取得。その後はAmazon Japanにてスポーツ&アウトドア事業部の商品戦略部統括部長などを歴任し、2017年に現在の会社グローバルポーターズ株式会社(https://www.global-porters.com)を起業。トータルベースボールカンパニー構想の実現を目指して野球界の発展に努めている。

社長になって知った責任の重さ

ーー米沢谷さんの会社「グローバルポーターズ株式会社」はどんなことをされている会社なのでしょうか?
一言でいうと、野球界に貢献できるビジネスをいろいろやっています。その中でも、①野球用品を開発して販売する「プロダクト事業」、②中古野球グラブの買取・再生・再販やグラブ修理、リメイクをしている「Re-Birth(リバース)事業」、③過去に野球や仕事で関わった取引先のマーケティングをサポートする「マーケティング事業」が中心ですね。
プロダクト事業としては、幼児向けに野球を始めるきっかけを作るグローブやバッティングセット、草野球を手軽に楽しめるコスパの良い用品、学生層の上達をサポートするトレーニンググッズ、プロ野球団のオフィシャルグッズなどが特徴で、約1,000アイテム展開しています。Re-Birth(リバース)は愛着あるグラブを長く使えるように修理サポートし、もし野球環境や生活環境の変化でグラブを使わなくなったら私たちが買い取らせていただき、グラブを再生・リメイクし、次のプレイヤーに安価で提供する「野球版の循環経済(サーキュラ―エコノミー)」を創ろうとしています。
最近では、未就学児のお子さん向けに、野球やキャッチボールの楽しさを知っていただくために絵本「ぼくのグローブでとれるかな?とれるかな!?」も出版しました。

ーー従業員は何人ですか?
役員も入れて9人です。あとは外部で契約させていただいているパートナーが数名います。全員野球が好きですね。

ーー社長になられて責任やプレッシャーなどを感じることはありますか?
一番最初に社員になってくれた私の右腕的な存在の社員がいるのですが、彼に社会保険証を渡すときに感じましたね。

ーーそれはなぜ?
彼には奥さんと子どもが2人いるんですね。ですので当たり前ですが社会保険証を4枚渡すことになります。社員を1人雇うということは、その家族の生活も背負うことなんだって痛感しましたね。社員は少ないですけど、その家族のことを考えると十何人の人生を背負うことなんですよね。なので路頭に迷わすにはいかないというプレッシャーは常にあります。

ーー高校生は「社長」ってどんなことをする人なのか、なかなかイメージが湧かないと思います。米沢谷さんの平均的な1日を教えてください。
私の場合ルーティンがないので、あまり参考にならないかもしれません。社長というよりあくまで1人の起業家としてになりますが、毎朝6時半に起きて1時間から1時間半くらい本や雑誌、尊敬している経営者のSNSをみて自分だけの時間を過ごします。ここから良く日頃の問題解決や新しい発想が生まれるので大切していますね。そのあと朝食を食べて、8時半からその日の優先業務に手をつけていきます。たぶんいろんな方が言っていると思いますが、大切な仕事や期限のある仕事は午前中にやるようにしています。なので、予定は全て11時以降からスケジュールしていますね。昔やっていた朝一メールチェックはもうしていません(笑)。

日中は、ほぼ商談や会議です。海外工場や得意先、球団関係者、新規事業で関わる方々など、様々な方と打合せしています。最近はオンライン会議が増えた分、移動時間がなくなって効率が上がってますね。
夕方以降は新商品の企画や新しいサービスの展開など、少し先のことを考える時間をとっています。社員のみんなからの相談事項や確認もこの時間がやっていますね。

あとは夜が少し特殊で、夕食後の21時くらいから1.5時間仮眠して、頭をリセットさせて深夜2時過ぎまで自分の時間を作っています。その日やれなかったことを消化したり、会社の将来のことを考えたり、会社の業績やキャッシュフローを確認したり、社員の労務管理したり。周りからは「毎日夜遅くまで大変」と思われたりしますが、実は仮眠しているので頭も体も良い感じで、自分の中ではこの時間が気に入っています。もう6年くらい習慣になっていますね。

ーーメールのチェックをしないのはなぜですか?
メールやビジネスで使うSNSのチェックや返信はスマホで常態化してしまっているんですね。デスク×パソコンではなくなっていますので、メールチェックのためにまとまった時間を取る必要がなくなりました。その代わり、毎日フルタイムであれこれ来ますので良いかどうかは自分でもわかりません(笑)。

ーープライベートでも仕事のメールチェックをするのはストレスたまりませんか?
「好き」を仕事にしているので、こういう(野球関連の)ものを扱っていていますから、そこにいる仲間たちとのコミュニケシーションって友達とのやりとりみたいな感じなんですよね。そこで生きているのが心地良いといいますか。なので全然苦にならないですね。


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