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ホークスの核弾頭「中村晃」が「首位打者・最高出塁率」に挑む

2015.4.16
 2007年高校生ドラフトで福岡ソフトバンクホークスの3巡目指名を受けた中村晃選手。昨シーズンは176安打でパ・リーグ最多安打のタイトルを獲得。長距離打者で鳴らした高校時代からスタイルを変え、今や「技術屋」と称されるまでに。今シーズンさらなる高みを目指す中村選手が2015年の挑戦「首位打者・最高出塁率」に対する意気込みを語ってくれた。


大事な場面で自然と出たスイング

 昨年の日本シリーズ第4戦、延長10回にサヨナラ3ランを打ち、日本一を呼び寄せる流れを作った中村選手。しかし、本人はどんなスイングだったか全然覚えていないという。「一握り半余らせて握るイメージだったかと思うんです。実はあの時、調子が悪くて。アウトコースにストレートが来ていたら空振りでした。ホームランはたまたまです(笑)。たまたま自分の打てるところに来て、たまたま自分のスイングができて、軌道が乗っただけです」。そう笑って話す中村選手だが、体が自然と反応するまで振り込んでいて、大事な場面でそのスイングができるという精神的な強さや勝負強さも中村選手の魅力を語る上で外せない要素だ。


確率を上げるバッティングスタイル

 「僕の中で野球は確率が大事だと思っています。ですから、安打数より打率、出塁率を目標にしたいんです」。昨シーズンに最多安打のタイトルを獲ったからこそより凄味が増す言葉だ。確率を上げるポイントとして「ストライクゾーンの球を打ち、ボールゾーンの球を見逃す。単純ですが難しいことをしっかりできるようにしたい」と語る。当たり前のことを、当たり前にやる。その積み重ねが好結果につながることを昨シーズン体感している強みが、新たな挑戦へとかきたてる。

 中村選手は今シーズンの課題として「トップから最短距離でスイングするためのバット操作」を挙げている。そのために、横から上げてもらうティーバッティングを普段の練習でも取り入れている。「体が開かずにスイングすること。ノーステップでスイングするときもトップの位置から無駄な動作なくボールを捉えられるかを確認すること」と、ただバットを振るだけではなく、理想のスイングを繰り返しイメージして練習に取り組む姿勢には、中村選手の決意の表れが感じられる。

 「入団当初はそこまで意識していませんでしたが、4・5年目になって意識し出して、8年目の今では一番大事なことだと思っています。トップからスイングを始めるときに余分な動作があると、どうしても思うようにバットとボールが当たらなくなる。そうすると自分の思ったところにバットも出てこない。ですから、そこは常に意識していますね」。


確率を上げるバット選びのポイント

 「トップを作って最短距離でスイングするにはバット選びも大事な要素」だと語る中村選手。「バットの形状は入団3年目から変えていません。持った感じの操作のしやすさと、振り抜きやすさを大事にしています。バットのグリップ重心がどこにあるのかなどは、あまり気にしていません」と、自身の感覚を大事にしている。「練習では一握り余らせてバットを持って、シーズン中はもっと短く持ちます。その日の身体の状態によって、握る位置は異なりますね」と、コンディションを見極めながらベストな握り方を模索している。


「探究心と行動のバランス」でさらなる高みへ

 2年連続日本一を目指す2015シーズン、「首位打者・最高出塁率」という高い目標を設定したことについて、「これくらいの目標でやっていかないと、福岡ソフトバンクホークスでは試合に出られないと思っています。まだ自分のことで精一杯ですが、まずはレギュラーをしっかりとって、チームとしても連覇を達成していくためにやっていきます」と、今シーズンに対する意気込みを語った。「常に上手くなろうという気持ちを持ち続けて、探求心と行動のバランスを心がける。そして道具も自分の気持ちも大事にしてやっていきたいです。考えすぎることもよくないですし、考えずにただ練習をこなすだけでも上手くなりません。量をやりながら質も求める。難しいんですが、これが結構大事なんです」

 今シーズンはかつて井口資仁選手(現千葉ロッテマリーンズ)もつけていた背番号「7」に変更。普段の練習から目的を持った練習を心がけ、実践で発揮できるレベルにまで仕上げてくることができれば、今シーズンさらなる好成績が期待できそうだ。チームとファンの期待を背負い、2年連続日本一を狙う中村晃選手の活躍から目が離せない。


中村晃(なかむらあきら) 1989年11月5日生まれ。埼玉県出身。身長175cm 、体重84kg。左投左打。外野手、一塁手。2007年に帝京高校から福岡ソフトバンクホークスに入団。2014年は、夏場から調子を伸ばし、自身過去最高となる.308を記録。176安打で初の最多安打のタイトルを獲得するなど、チームのリーグ優勝・日本一に大きく貢献した。


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