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【メディカルコラム】スポーツにケガはつきもの。防げるケガはしっかり防いでおきたい

2015.4.14

野球をする子供達にとって最も怖いのはケガをして、野球ができなくなること。小さい頃からケガに対する知識をつけておくことで対処もできるようになるだろう。



 スポーツをしているとどうしても気になるのがケガのこと。野球に限らずどんなスポーツでも取り組む時間が長くなればなるほど、ケガをするリスクは高まる可能性があります。こうしたケガには大きく分けて「予防できるケガ」と「予測不可能なケガ」の2種類が考えられます。

 専門的な言葉では「スポーツ外傷」、「スポーツ障害」と呼ばれ、この二つをあわせてスポーツ全般で起こるケガを「スポーツ傷害」と呼びます。

 「スポーツ外傷」とはどちらかといえば予測不可能なケガのこと。明らかな外力によって組織が損傷された状態です。スポーツにおいては衝突、打撃、転倒などがその要因にあげられ、突発的に起こります。打席で投手のボールをよけきれずに当たってしまうデッドボールやピッチャーライナー、ランナーと野手が交錯して起こる衝突によるケガなどが考えられます。野球はノンコンタクトスポーツと呼ばれ、基本的には相手との接触プレーが少なく、ラグビーやサッカーなどのコンタクトスポーツに比べ、スポーツ外傷は少ないといわれています。

 「スポーツ障害」とはどちらかといえば予防できるケガのこと。スポーツを続けることで蓄積された疲労や身体への強い刺激が、局所的な組織障害を起こす状態です。これは一過性のものではなく、少しずつ断続的に症状があらわれ、プレーを続ければ続けるほどだんだんとその症状が強くなる傾向があります。スポーツ障害は急に痛みなどが起こるというよりは、違和感を感じながらもプレーをすることができるので、気がつくとかなり進行してしまっているケースがあるので要注意です。練習量と質の問題、個人の身体的要因(体力レベルや年齢、性別など)、環境因子(天候や気温、グランド状態等)などを考慮に入れて、体力的負荷が大きくなりすぎないようにすることも大切です。

 スポーツ障害の主なメカニズムとしては次の二つが考えられます。
1)オーバーユース(使いすぎ):原因としては過度にくりかえされるスポーツ動作(例えば投球動作、長距離走)
2)オーバーロード(過負荷):くりかえしの頻度は少ないが物理的ストレスの強い運動(例えば重量挙げなど)

 肩や肘、腰など特定の部位に違和感を感じたときはプレーを中止したり、負荷を軽くしたりして様子をみましょう。またセルフケアを行い疲労回復に努める等、自分でできることがたくさんあります。不要なケガをして練習に参加できなくなる前に先手先手を打つように心がけましょう。そのためのチェック方法やコンディショニング方法なども随時このコラムでお伝えします。


文=西村典子
東海大学硬式野球部 アスレティックトレーナー
日本体育協会公認アスレティックトレーナー。主に大学・高校野球部でのスポーツ傷害予防、応急処置、フィジカルトレーニングなどを指導。



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