トレーニング

牽制球の投げ方で盗塁をさせない技術を指導してあげよう

2015.4.19

パーソナル投手コーチとして東京から全国に出張コーチングを行う、リトルロックハート・ベースボール・ラボラトリーのコラムがスタート。野球の技術を中心に、指導に悩む現場の指導者の方々、保護者の方々に上達のヒントをお届けします。


■重要なのは盗塁を刺すことよりも、盗塁をさせないこと

 盗塁を刺すために、小学生のうちからクリックモーションで投げさせているチームも多いようです。しかし技術レベルがまだ低い投手がクイックモーションで投げてしまうと、手投げになってしまいます。すると上半身投げが染み付いてしまい、肩肘を痛めやすい投手になってしまいます

 小学生野球で重要なのは盗塁を刺すことよりも、盗塁をさせないことです。指導者はまず、それをしっかりとコーチングしてあげることが重要なのではないでしょうか。

 盗塁をさせないためには、牽制球を上手に行う必要があります。コツは簡単です。絶対に走られたくない時は、少なくとも2回以上牽制するだけです。実際に牽制球を投げてもいいですし、プレートを外して投げる振り(偽投)を見せるだけでもいいですし、セットしたままじっと走者を見るだけでもいいですし、一塁手に常に走者の動きを大声でアナウンスさせるだけでも構いません。

 牽制球とは、それによって走者をアウトにするためのものではありません。もちろんアウトにできる状況であれば狙うべきですが、しかし牽制球の最も重要な役割は、走者を釘付けにし、スタートを切りにくい状況を作るということです。

 2回以上牽制をすると上述しましたが、同じパターンではダメです。違うパターンで2回以上牽制をすることで、走者はいつ牽制球が来るのかまったくわからなくなり、スタートを切る勇気を一気に失くしてしまいます。リレーのアンカーになれるような俊足選手ならそれでもスタートを切るかもしれません。しかしそうじゃない走者であれば、これを行うだけで簡単にはスタートを切れなくなります。そうすればクイックモーションを使わなくても、一塁走者の盗塁による二進は防ぐことができるのです。

■牽制の工夫により走者に盗塁をさせない

 偽投についても上述しましたが、三塁一塁の状況で三塁に偽投することは要注意です。リーグによってはこれが禁止されているケースもありますので、審判員にしっかりと確認をするようにしてください。

 余談ですが、飯島秀雄選手という元ロッテのプロ野球選手をご存知ですか?飯島選手は100m走の元日本記録保持者で、日本を代表する素晴らしいスプリンターでした。そんな飯島選手が世界初の代走専門選手として、ロッテがプロ契約を結んだのです。しかし飯島選手は足は当然誰よりも速かったのですが、盗塁のスタートを切るタイミングをつかむことができず、3年間でわずかに盗塁23、盗塁死17、牽制死5という数字でユニフォームを脱いでしまいました。

 つまりどんなに足が速い選手が相手であっても、牽制の仕方を工夫するだけで盗塁のスタートを切らせないことができるというこです。特に小学生を指導される方は盗塁を刺すためとはいえ、手投げになりやすいクイックモーションを指導するよりも、牽制の工夫により走者に盗塁をさせないということを念入りに指導してあげてください。



PICK UP!

新着情報