学校・チーム

【川和】私立が10球なら川和は1球で体得する

2017.8.31

川和高校野球部の部員たち

「文武両道」を実践する、偏差値65以上の高校6校をタイムリー編集部が密着取材した『甲子園を目指せ!進学校野球部の勝利への方程式』(辰巳出版)が発売!

取材した高校の中から、今回は神奈川県立川和高校の一部を紹介します。

”取材した6校の野球部には共通点があった。それは「人を育てる」教育をしているということ。「勉強」も「野球」も手を抜かないのは、そこに勝利の方程式があるから”(本書より)


髪型自由、SNS自由。
スマホも取り入れる自主自立の練習法

『甲子園を目指せ!進学校野球部の勝利への方程式』|川和高校編

[ 掲載内容 ]
「文武両道こそが最大の特徴」
「髪型自由、SNSもオッケー」
「スマホを生かした動画からの学び」
「選手間の会話でうまくなる」
「一生懸命にやらない練習」
「『俺達が歴史を変える』私立に挑んだ2017年夏」

「選手間の会話でうまくなる」より

お互いにバッティングフォームをスマホに取り合う川和高校野球部員

練習を見ていて、気付いたことがある。選手同士の会話が非常に多い。バッティングのヒジの動きを確認したり、ショートバウンドを捕る動作を教えたりと、あらゆるところで「教え合い」が起きているのだ。

「選手同士の何気ない雑談の中に、うまくなるためのヒントがあるように思うんです。教える方も教わる方も、気付くことがあるはず。だから、その話の中には極力加わらないようにしています。監督が入ってしまうと、監督の言葉になってしまいますから」

実は、こうした会話の多さに魅力を感じて、入学してきた選手も多い。
新井は中学3年秋、川和の練習を見学した際に感じたことがある。
「会話が多いのが印象的でした。ひとつのプレーに対して、もっとこうやっていこうという話が出ていて、みんなでうまくなろうとしているのが伝わってきました」

サードの乗松は入学後に、会話の多さに驚いたという。
「中学時代はシニアだったんですけど、監督やコーチの言葉に『ハイ!』と言うだけのチームでした。でも川和は全然違う。自分の考えをしっかりと話す先輩が多くて、こういう感じでもいいんだと思いました」

こうした先輩の姿を見て、入学したての1年生も考えを伝え合うこと、教え合うことの大事さを学んでいく。

センターを守り、トップバッターとしても活躍する清水が面白いことを言っていた。
「自分ひとりで練習をしてもうまくはならない。伊豆原先生に教わったことが頭の中に入っているので、その知識を持って、チームメイトのスイングを見られるようになれば、チーム全体がレベルアップできる。ほかの人の動きやプレーを見るのは結構、頭が疲れるんですけど、川和が強くなるにはそれが必要だと思います」

バッティング理論や知識に関して、清水が一目置いているのがキャプテンの市村だ。練習中も、周りの選手に教える姿が何度もあった。
「自分なりの感覚なので、人とは違うところがあるかもしれないけど、気付いたり思ったりすることは伝えるようにしています。それで、何かきっかけをつかむこともあると思うので」
こうした環境でプレーしているからだろう。監督の言葉に対しても、「ハイ!」だけで終わるようなことがほとんどない。疑問に思うことがあれば、監督にも質問する。わからないことがあれば、わかるまで聞く。当たり前だと思うかもしれないが、高校野球部という世界で見ると、それが難しい高校もある。監督からのプレッシャーが強すぎたり、選手が意見を言えない雰囲気になっていたりすると、なかなか会話は生まれないのだ。でも、川和にはそれはない。伊豆原監督が会話のしやすい雰囲気を作り出している。

「まずは、選手の話を聞くように心がけています。考えたり、話したりするのが好きな選手は多いですね。それは野球部に限らず、ほかの生徒も同じです」
これまでも進学校と言われる学校を取材したことがあるが、共通しているのは自分の言葉で表現ができるということだ。頭で考えていることを、しっかりと言葉にすることができる。なぜなのか。伊豆原監督にその理由を聞くと、興味深い考えを教えてくれた。

「頭の中で考えていても、口に出せない子はたくさんいると思います。でも、川和の生徒は口に出してしゃべれる子が多い。それは何かと言えば、小さい頃から自分が主張してきたことが認められてきたという成功体験があるからだと思います。学級委員や、生徒会を経験してきた子も多いですから。『意見を言っても通らない』『何か言ったら怒られる』という環境で育っていたら、なかなか口に出せないと思います」

たしかに、納得の考えである。(文&写真:大利実)

続きは本書よりお読みください


●公立の進学校が、本気で甲子園を目指す!

今年の夏の甲子園も様々な話題で盛り上がりましたが、その中のひとつとして、公立校の出場が過去最少となったということがあります。
その中で進学校となると、さらに少なくなってきてしまうのが現状です。
しかし、「文武両道」を掲げ、本気で甲子園出場を目指す公立校が全国には多く存在しているのもまた事実なのです。

●選手たちはいかにして「文武両道」を実践しているのか?

本書では、そんな公立進学校6校の「甲子園出場」という大きな目標に向けた取り組みを紹介していきます。
いかにして選手たちは、学業と部活を両立させているのか? 少ない時間の中で、どのような練習を行っているのか?
そういった疑問に対する答えだけでなく、本書は選手たちの挫折と喜び、指導者たちの思い、そして未来への夢が詰まった一冊になっています。

●公立進学校の監督&選手たちの6つの軌跡を収録!

【掲載高校】
◎県立宇都宮高校(栃木)/勉強にも野球にも本気で打ち込めるか。将来のリーダー育成を掲げる伝統校の真実。
◎県立丸亀高校(香川)/甲子園を目指せる高校として成功体験を心に刻み集中する。
◎県立岡山城東高校(岡山)/目標設定、実行、見直し、改善。短時間練習の中で意識を徹底。
◎県立新潟高校(新潟)/優等生たちの意識を大きく変えたスパルタ“鬼"監督の情熱野球。
◎府立四條畷高校(大阪)/人間教育で技術を向上させる。激戦区を勝ち抜くための指導とは。
◎県立川和高校(神奈川)/髪型自由、SNS自由。スマホも取り入れる自主自立の練習法。

【編者プロフィール】

タイムリー編集部
2009年7月に創刊し発行を続ける、全国約4000校の高校野球部へ直接配布するフリーマガジン「Timely!」。株式会社SEA Globalが発行元となり、隔月年間5回の頻度であらゆる高校野球部を始め、現場を徹底的に取材した記事を掲載している。
また、誌面以外にもWEBサイト「Timely! WEB」にて、高校野球を中心とした記事も配信している。