毎日のように触っている野球道具だが、意外と知らないことが多いもの。
今回タイムリーでは、いくつかの高校で野球道具に関する球児のお悩みを取材。
そのなかから選りすぐりの質問をピックアップし、ギアの達人であるペー師匠に直撃した。
目からウロコの回答をご覧あれ!
Q:グラブを長持ちさせるためには、どんな手入れをすればいいですか?
A:まず、グラブに付いた土や砂をしっかりと落とすよう心がけよう。
土が詰まったときは、先端が尖ったものを使うと落としやすいぞ。オイルはカサカサ過ぎてもダメだし、ベトベト過ぎてもダメ。丁度いい量を塗って、革に潤いをキープさせるのが大事なんだ。そうだな、しっとりとして人肌くらいの量がベストだな。塗り過ぎると革が腐っちゃうから気をつけろよ。
グラブが雨で濡れたときは風通しの良いところで陰干しするように。びしょびしょのときはドライヤーを使ってもいいだろう。ある程度乾いたらグラブの中に新聞紙や乾燥剤を詰めておく。
じっくり時間をかけて乾燥させるんだぞ。乾かした後はグラブがカサカサになりがちだから、オイルを何度か薄く塗るように。
そうそう、グラブの紐はあんまり硬いのは使うなよ。硬い紐を使うとグラブの穴が広がっちゃうからな。ウェーブや紐自体は切れないんだけど、グラブ本体が切れやすくなるんだよ。
あと、少しでも長持ちさせたいのなら、グラブがダメになる前ににお店に持っていくことだな!
Q:グラブの指先の紐の間隔はどのくらいにするのがいいですか?
人差し指と中指の間、薬指と小指の間は若干開いていて、中指と薬指の間は狭くなっているだろう?写真のグラブのように手の形に合わせて、人差し指と中指の間、薬指と小指の間はやや緩めにして、中指と薬指の間は狭くしよう。
あと、ウェーブはキツくせず、適度に緩めておくことを忘れないように。キツく縛っちゃうと、ボールの衝撃で紐を通す穴の部分に衝撃がかかっちゃうからな。人生にもグラブにも“あそび”の部分は大事だぞ。
Q:グラブやキャッチャーミットの紐の結び方を教えてください
A:紐の結び方はグラブもキャッチャーミットも一緒。
まず、紐のザラザラとした裏面を外側に向けてかた結びをする。このとき縦に結ぶようにしよう。ここで全部裏面が見えていることが大切だからな。そしてもう一回かた結びをする。最初のかた結びは縦に結んだが、今度は横に結ぶのがポイントだ。そうすると全部表面が表に見えるようになるからな。最後の紐の結び方には少しコツが必要だが、慣れれば簡単だから写真を見ながらトライしてみよう。
Q:グラブをほどよい柔らかさに保つにはどうしたらいいですか?
A:寒い時期ってグラブが硬くなるんだよな。
エアコンの下に置いて、小指の付け根部分と、親指の付け根部分を揉むといいぞ。
最近の球児はグラブに形をつけるために、紐で巻いたりするけど、夏は乾燥させないといけないからそのやり方はNG。紐は移動のときに形を崩れないようにするためのものって認識が必要だ。早くグラブを柔らかくしたいなら、お店に持ってくればいい。ある程度のところまで柔らかくしてやるから。ただ、最後の微調整は自分でやろうぜ。自分の形というのを知ることも大切なんだ。
逆に柔らかくなり過ぎてしまったら急いでお店に持ってくるべし。こればかりは専門店の仕事だ。
クタクタになったグラブはある程度戻すことができるんだよ。さっきの質問でも答えたけれど、紐をキツく締めたり、硬い紐を使ってグラブを硬くしようとしてもダメなんだぞ!
Q:セカンドなのですが、グラブのポケットが浅い方がいいのか深い方がいいのか悩んでいます。 しっかり捕るのと握りかえの速さとどっちが重要ですか?ちなみに、できるだけ守備範囲を広く、球際に強くなりたいです。
A:どんな選手なのかによるよな。
自分の肩に自信がない球児は小さくてポケットが浅めのグラブで握りかえを速くした方がいいだろうな。逆に肩に自信があるなら大きくてポケットが深いグラブでも構わない。ただ、浅いグラブは技術がないと難しいぞ。
プロは浅めのグラブ使うけれど、それはプロとしての高い技術があるからできるんだ。プロ野球選手は中指の付け根くらいで捕球するんだけど、これはちょっと高校生には難しい。高校野球はまず「しっかり捕る」ことが大事だ。だから、守備力に不安があるなら、握りかえが多少遅くなったとしても、大きいグラブを選ぶ方がいいと思うね。しっかりとポケットで捕るようにしろよ!
Q:1年使ってかなり汚れたのでグラブをきれいにしようと思っています。湯もみをするか、分解して洗うか悩んでいますが、どちらがいいですか?
A:「湯もみ」ってのはグラブを買った最初の段階、すぐにグラブを使いたい人がやるもの。
それ以外で湯もみをするのは止めたほうがいい。洗うのもダメ。縮んじゃうからな。汚れを落としたいなら革専用のクリーナーを使うべし!
オススメは「Renapur(ラナパー)」というメーカー。これはカバンや靴などを洗うクリーナーなんだけど、汚れがかなり落ちるぞ。あと、汚れを落とした後はしっかり乾燥させろよ。練習のないオフの間にメンテナンスしてやることも大切だ。
Q:本当に正しいキャッチャーミットの磨き方を教えてください
A:キャッチャーミットもグラブと一緒だぞ。
キャッチャーミットだからって特別にどこから塗っていくとか、磨く順番の決まりは特にない。ただ、捕球面に関してはピッチャーの強い球を何度もキャッチするんだから、他のポジションよりも気を遣った方がいいだろうね。オイルをベタベタに塗るのは良くないし、塗らなすぎてカサカサになると裂けちゃうんだよな。
だから絶妙なしっとりさ加減が肝心なんだよ。ただ、あまり神経質にやらなくても大丈夫だよ。乾燥してきたなって思ったら手入れするように。
Q:なぜポジションによってウェーブの形状が違うのですか?
A:ズバリ、これは職人の遊び心っていうかデザインの問題。
機能的にはあまり関係がないんだよ。
昔は全然種類がなくってワンパターンだったんだ。でも今はそういう時代じゃないだろ?グラブで個性を出そうと思ったら、ウェーブの部分くらいしか変えられないんだよな。
オレみたいに修理のためにグラブを縫う側からしてみたらさ、「複雑にしないでもっと簡単にしてよ〜」「ウェーブに硬い革を使わないでくれ〜」って思うんだけどさ(笑)。
Q:登板後のケアは何を使ってどのようにすればいいでしょうか?
A:「登板」ってことはおそらくキミはピッチャーだな。
どこのポジションにも共通しているケアは乾燥剤を毎日入れて、しっかり乾かすこと。ピッチャーは特に手汗をかくポジションだし、野手と違って、守備用手袋もできないから大変だよな。
捕球面とか背面ではなく、グラブの内側を気にした方がいいな。内側が汗でパリパリになっちゃうとグラブをダメにしてしまう大きな原因になるから要注意。表面はベトベトしない程度に油を薄く塗って、汚れてしまったらグラブ専用のクリーナーで洗おう。
Q:グラブのポケットが広くなり、握り返しにくい状態です。これを直す方法はありますか?
A:残念ながらそれは無理じゃー!
たぶん広くなったんじゃなくて「深くなった」ってことだと思うんだよな。自分の捕り方とグラブが合ってないんじゃないのか?
ワシのところに直接持ってくれば、親指を立ててポケットの位置を右にずらしたりすることはできるんだけどな。でも、たぶん捕り方の問題だから、捕り方を見直すか、グラブを変えるかのどっちかだな。
Q:いま軟式のグラブを使っているのですが、守備用の手袋をしていても捕球時に痛いです。できるだけ痛くないグラブの選び方を教えてください。
A:そりゃ軟式用のグラブで硬式球を捕ってるんだから痛いわ!
ただ痛くない捕り方ってちゃんとあるんだぞ。捕球時に手の平を捕球面から少し浮かすっていう捕り方だな。吸収パットとかあるけど、あれは人によってはちょっと捕りづらくなるんだよ。
一番はなんていったって「慣れ」だよ。痛く感じなくなったら上達した証拠だ。
でも、とりあえず硬式用のグラブを買おうな!
ポジションが決まってからでいいからさ。ポジションに合ったグラブは絶対必要なんだって。
ワシも昔はポジションが変わるたび、何度も買わされたもんだったよ。高かったけどさ、でも、野球をやっている上ではしょうがないこと。内野には内野、外野には外野のグラブにはちゃんと必要性があるんだから。安いのでもいいからまずは買ってみることをオススメするよ。
Q:グラブの手入れにカラーオイルを使うとどのくらい色がつきますか?色以外に通常のオイルと違うところはありますか?
A:カラーオイルで色がつくと思ったら大間違い!
カラーオイルっていうのはもともとある革の色を保つためのオイルなんだよ。どうしても色をつけたいときはカラースプレーがあるぞ。
ワシが大学生の頃は「Kiwi」などの靴クリームを使ったなぁ。ロウが入っているからツヤも出るんだよ。ピカピカでカッコよくなったもんだったよ。ただ臭いがなぁ…。
…話が逸れちゃったけど、色を保ちたいならグラブを買った段階で艶出しを塗って、ちゃんと膜を張ること。グラブは日焼けするだけで色が落ちるからな。
Q:グラブの紐を長く余らせている人がいますが、何か意味があるのですか?
A:じつはまったく意味ナシ!
本人がカッコイイと思ってやっているんだろ。
ただ、あまり短か過ぎると、結び直すときに難しいんだよな。だいたい4cmくらいあれば紐の調節には丁度いいな。自分のぴったりのグラブになったと思ったら切るのが普通だ。