「野球が大好き、投げることが大好き」という言葉通り、ちょっとしたことにもこだわり、研究、実践を行い試行錯誤を重ねてきた山本昌の投球術が詳細に詰まっている内容である。投げる際に最も大切にしてきた「ピッチングの三原則」から始まり、下半身の使い方、勝つためのピッチング技術など、『ピッチングマニア』というタイトルにふさわしいマニアックな1冊となっている。
Timely!WEBでは発売を記念して、特に高校球児や小学生、中学生でもすぐに明日から実践できるポイントをピックアップ。短期連載で実践に役立つ内容をお送りする。連載最終日には本人直筆サインボールも読者にプレゼントする予定なので、ぜひ最後まで楽しんで読んでほしい。
<連載予定>
第1回(3/28配信) 大きく使って投げる
第2回(3/30配信) 軸足のヒザを意図的に折らない
第3回(4/2配信) コントロールをつけるのは中指
第4回(4/4配信) カーブは「空手チョップ」で投げる
第5回(4/6配信) 相手の心臓を狙ってキャッチボール
第6回(4/8配信) ストライク先行で勝利に近づく
第7回(4/13配信) ピッチャーの強さがチームの強さ
「投げる」ということについて、大事にしていた三原則があります。
それは、「大きく使って投げる」「上から投げる」「リリースで叩く」ということ。
プロ野球生活32年。何度もフォームを改良し、さまざまな投げ方を研究するなか、この三原則だけは守り続けてきました。50歳まで現役を続けられたのも、ここに理由があると思っています。
肩甲骨をしっかり開く
「大きく使って投げる」から解説しましょう。
キャッチボールのときから、体全体を大きく使うことを心がけていました。といっても、「大きく」というのは抽象的でわかりにくいかもしれませんね。いい方を変えれば、「関節をしっかり開く」となるでしょうか。
特に意識していたのが、肩甲骨の開き。肩甲骨を大きく開いて投げることによって、故障を防ぐことにもつながります。「投げる」というと、どうしても肩やヒジに意識が向きがちですが、目を向けるべきは肩甲骨。肩甲骨を大きく使うことによって、窮屈なところがなくなり、肩やヒジに無理な力が入らず、スムーズに動くのです。
投げるときのポイントは親指を下に向けて内側に少しひねる
投げるときに意識するポイントは、「親指を下に向けて内側に少しひねる」「ボールを体の外に向ける」という2点。
利き手に持ったボールとグラブが分かれる、いわゆる「割れ」の動作が始まるときに、親指を下に向けてひねった状態でバックスイングに入ってほしいのです。
親指が下に向いていれば、ボールは必然的に体の外を向く。私が投げている写真を見ると、ボールが二塁方向にしっかり向いていることがわかると思います。
では、なぜ親指を下に向けて内側に少しひねらなければいけないのか。それは先ほどの肩甲骨の開きに関係していますーー。
▼割れからバックスイングに入る良い形
▼割れからバックスイングに入る悪い形
著者プロフィール
山本昌
神奈川県茅ヶ崎市立松林中学校、日本大学藤沢高校を経て、1983年秋のドラフト5位で中日ドラゴンズに入団。5年目の88年、アメリカへの野球留学で急成長し、同年8月にプロ初勝利を挙げる。以降左の先発投手としてチームを支え、93、94、97年に最多勝。94年には沢村賞も受賞した。2006年9月16日には史上73人目のノーヒットノーランを達成。41歳1ヶ月での達成はプロ野球史上最年長記録だった。15年10月7日、50歳1ヶ月で登板した広島カープ戦をもって現役引退。プロ32年間の通算成績は219勝165敗5セーブ、防御率3.45。
公式ホームページ
『ピッチングマニア レジェンドが明かすこだわりの投球術』
山本昌著
出版社:学研プラス
四六版/233ページ
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